琉球方言は、かつて独立した国であった琉球王国の影響を受け、独特の言葉や発音が残っています。
この方言は、鹿児島県の奄美諸島と沖縄県の沖縄諸島で話されており、奄美方言、沖縄方言、宮古方言、八重山方言の4つに大別できます。
奄美大島から与那国島までの距離は、東京から鹿児島までと同じくらいです。そのため、それぞれの島には大きく異なる方言があり、異なる島同士では通じにくいことが多いです。
例として、沖縄方言の「めんそーれ」は「いらっしゃい」、宮古方言の「んみゃーち」や八重山方言の「おーりとーり」など、同じ意味でも異なる言葉が使われます。
沖縄方言の特徴として、形容詞に「〜さん」がつくことが挙げられます。
例えば「高さん」は「高い」という意味で、また「ちゅらさん」は「美しい」という意味です。「ちゅら」は「清らか」が変化したもので、「きれいな人」を「ちゅらかーぎー」と言います。
かつて琉球王国の首都であった首里の言葉は、琉球方言の中の標準語とされ、沖縄各地で広く通じる言葉となっています。
今回は、そんな沖縄県の有名な方言を一覧で五十音順にご紹介します。
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目次
はじめに:沖縄県の有名な方言といえばコレ!
沖縄県の方言を一覧でご紹介する前に、まずは沖縄県の最も有名な方言をご紹介します。
かりゆし
めでたいこと。
なんくるないさ!
「なんとかなるよ」「大丈夫だよ」「なんでもないよ」という意味。
ちゅらさん
美しい
ちゅらかーぎー
きれいな人
ばっぺーた
まちがえた
ちむどんどん
わくわくすること。
いちゃりば ちょーでー
出会えば 兄弟
やっさいびーんどー こーいみそーれー
安いですよ〜 買ってください
ちゃっさが?
いくらですか?
えー、ゆくしだろ!
えー、うそだろ!
ひてぃみてぃむん
朝食
あさばん
昼食
ゆうばん
夕食
ちゅーや しちんやしが しわやっさー
今日は 試験だけど 心配だあ
ちばりよー
がんばれー
くぬ まんがー うむさんどー
このまんが おもしろいよ
わんにん よみぶさっさー
ぼくも 読みたいなぁ
めんそーれ
いらっしゃい
わんにん むっちょんどー
ぼくも 持ってるよ
どぅーかってぃやっさー
自分勝手だな
ごはん食べましょうね
(わたしは)ごはんを食べます
にふぇーど
ありがとう
わんねー
わたしは
がちまがー
くいしんぼう
あぬ ばなや ちゅらむぬやっさー(北部の方言)
あの花は きれいだね
うぬ うーぎーや あまさっさー(北部の方言)
このさとうきびは 甘いね
あぬ はなー ちゅらさんやー(中南部の方言)
あの花は きれいだね
くぬ うーじぇー あまさん(中南部の方言)
このさとうきびは 甘い
先島諸島の有名な方言
先島諸島は宮古列島と八重山列島から成り立っています。宮古列島には宮古島、伊良部島、多良間島などがあり、その地域で話される言葉は「宮古の方言」と称されています。
八重山列島には石垣島、西表島、竹富島などが含まれ、この地域での言葉は「八重山の方言」と呼ばれます。各島や集落ごとに方言の違いがあり、特に日本最南端の与那国の方言は特徴的です。
がんずう からまちよ〜!
いつまでも お元気でね!
にーふぁいゆー(八重山の方言)
ありがとう
おーりとーり(八重山の方言)
いらっしゃいませ
わーりー(与那国の方言)
いらっしゃいませ
んみゃーち(宮古の方言)
いらっしゃーい
たんでぃがーたんでぃ(宮古の方言)
ありがとう
さばぬどぅ にゃーん!
ぞうりが ない!
くりゃー いっちゃろ
これは いくらですか
くり いこうーばかやー
これは いくらですか
うでぃんでぃ ひる
泳ぎに 行く
竹富島・西表島・与那国島の異なる方言
先島諸島といっても、各島には異なる方言が存在します。例えば、竹富島、西表島、与那国島では、同じ意味の言葉でも異なる表現が使われます。
「母」
竹富島 | 西表島 | 与那国島 |
あんに | んーなー | あっぱ あぶた |
「父」
竹富島 | 西表島 | 与那国島 |
あーや | いや | いや |
「太陽」
竹富島 | 西表島 | 与那国島 |
ちんだ | ちだ | てぃだん |
「海」
竹富島 | 西表島 | 与那国島 |
いん | うみ | うんなが |
「読む」
竹富島 | 西表島 | 与那国島 |
ゆみん | ゆみ | どぅむん |
「あ行」沖縄県の方言一覧
方言 | 意味 |
あがり | 東 |
あきさみよー | あれまあ |
あぎじゃびよー | ちくしょう、なんてこった |
あたいめー | 当たり前、当然のこと |
あちさいびーんやー | 暑いですね(お天気の挨拶) |
あにひゃー | あいつ |
あびる | どなる |
あらん | 違う、〜ではない |
あんくとぅやー | その通り、そうだね |
あんまさい | 面倒くさい |
いーそーぐわちれ | おめでとう |
いきが | 男 |
いきがんぐゎ | 息子 |
いなぐ | 女 |
いなぐんぐゎ | 娘 |
いり | 西 |
うーじ | さとうきび |
うちなー | 沖縄 |
うーとぅ | 夫 |
うきみそーちー | おはよう |
うしえてる | なめてる |
うたたん | 疲れた |
うちなーんちゅ | 沖縄の人のこと |
うっちん | ウコン |
うにげえさびら | お願いします |
うむやー | 恋人 |
おーりとーり(八重山方言) | いらっしゃい |
「か行」沖縄県の方言一覧
方言 | 意味 |
かなさん | 愛しい |
かなさんどー | 愛してる |
かむ(かむん) | 食べる |
かりーさびら | 乾杯 |
がんじゅー | 元気 |
ギーラ | シャコガイ |
きどぅるん | 気取る |
きばりよー | 八重山方言 |
きょら | 美しい |
ぐぶりーさびら | 失礼します |
くまいん | 困る |
ぐるくん | 沖縄の県魚「タカサゴ」 |
くゎっちーさびたん | ごちそうさま |
くゎっちーさびら | いただきます |
「さ行」沖縄県の方言一覧
方言 | 意味 |
さーたー | 砂糖 |
じーぐい | いじける |
しかむ | 驚く |
しったかー | 知ったかぶり |
しに | とても |
しむん | いいよ |
じゅーしー | 沖縄風炊き込みご飯 |
じらー | なんちゃって |
しんか | 仲間 |
しんけん | 本当 |
(服が)せまい | (服が)小さい |
ぜんざい | かき氷 |
「た行」沖縄県の方言一覧
方言 | 意味 |
たーりー | 父 |
たいみそーちー | おつかれさま |
たかさん | 高い |
たんちゃー | 短気 |
ちぬー | 昨日 |
ちばいーん | がんばる |
ちばりよー | がんばれよー! |
ちぶる | 頭 |
ちむじゅらさん | 心優しい |
ちむぐりさん | 可哀想 |
ちむどんどん | 胸がどきどきする様子 |
ちゃーびらさい | ごめんください |
ちゃっさやいびーが | いくらですか |
ちゃんぷるー | 野菜や豚肉などをごちゃまぜにした炒め物の総称 |
ちゅーうがまびら | こんにちは |
ちゅーばー | 強い人 |
ちゅらかーぎー | 美人 |
ちゅらさん | 美しい |
ちょーでー | 兄弟 |
チリバコ | ゴミ箱 |
っあんまー | 母 |
てーげー | おおよそ、いい加減、適当 |
でぃきやー | 頭がいい |
でぇじ | とても |
てびち | 豚足 |
とぅじ | 妻 |
とぅるばいかーばい | ぼーっと |
どんどん | ドキドキ |
「な行」沖縄県の方言一覧
方言 | 意味 |
ないちゃー | 本土の人のこと |
なんくるないさー | なんとかなるさ |
なんでよ | どうして |
にし | 北 |
にーにー | お兄さん |
にふぇーでーびる | ありがとう |
にりー | 面倒くさい |
ぬー | 何? |
ぬーやいびーが? | なんですか? |
「は行」沖縄県の方言一覧
方言 | 意味 |
はいさい(男)、はいたい(女) | こんにちは |
はじかさん | 恥ずかしい |
はじみてぃやーさい | はじめまして |
はば | カッコいい |
ひぃじぃ | 大丈夫 |
ひーさいびーんやー | 寒いですね(お天気の挨拶) |
ひじゅるさん | 冷たい |
ひっちー | 頻繁に |
ふぇー | 南 |
ふらー | バカ、バカ者 |
ふらーふーじー | バカみたいなことをする人 |
「ま行」沖縄県の方言一覧
方言 | 意味 |
まーさいびーん | おいしい |
まさかやー | 本当に? |
まーさっさ | めっちゃおいしい |
まーす | 塩 |
まーやいびーが? | どこですか? |
みーはいゆー | ありがとう |
むーちー | もち |
むちゃむちゃ | ベタベタする |
めんせーり | いらっしゃる |
めんそーれ | いらっしゃい |
「や行」沖縄県の方言一覧
方言 | 意味 |
やー | お前 |
やしが | だけど |
やっけー | 厄介 |
いらっしゃい | 家族 |
ゆいまーる | 助け合い |
ゆくさー | 嘘つき |
ゆくる | 休む |
ゆたしく | よろしく |
ゆんたく | おしゃべり |
よーんなー | ゆっくり |
「ら行」沖縄県の方言一覧
方言 | 意味 |
りくちくわいむん | ずるい |
「わ行」沖縄県の方言一覧
方言 | 意味 |
わいどー(宮古方言) | がんばれ |
わかやびたん | わかりました |
わじわじ | イライラ |
わっさいびーん | ごめんなさい(悪かったです) |
わったー | 私達 |
わらばー、わらびー | 子供 |
わらゆん | 笑う |
わらわさんけー | 笑わすなよー |
わん | 私 |
んじちゃーびら | さようなら |
んみゃーち(宮古方言) | いらっしゃい |
琉球方言の主な特徴
琉球方言の主な特徴は、共通語の「あいうえお」という母音が「あいういう」と変化している点です。
「雨」は「あみ」、「雲」は「くむ」となります。
また、「花」が「ぱな」、「火」が「ぴー」のように、パ行の音が使われる地域があります。
これは古い日本語の発音が残ったものだと言われています。
沖縄県の方言まとめ
昔の沖縄県の地域は、琉球王国として知られていました。
この琉球王国は奄美大島から与那国島までの広範囲にわたる国でした。このため、この一帯で使われている方言を「琉球方言」と呼んでいます。
沖縄県内での主要な方言としては、沖縄諸島の沖縄方言、宮古島の宮古方言、与那国島の与那国方言、そして八重山諸島の八重山方言があります。
これらの島々は互いに離れているため、それぞれの方言は非常に独特です。実際、島や地域によっては、方言の違いが大きいため、お互いの言葉が理解しにくいこともあります。そのため、共通の言語として、沖縄本島の言葉が広く使われています。
また、沖縄県の現代の方言は、古い琉球方言とは異なるものです。明治時代から学校教育で標準語の使用が推奨され、古い方言を話すことが少なくなりました。
現在、高齢者を除くと、多くの人が「ウチナーヤマトゥグチ」というむかしからの方言と共通語が混ざった新しい方言を使用しています。
この名前は、沖縄を意味する「ウチナー」と標準語を意味する「ヤマトゥグチ」を組み合わせたもので、要するに「沖縄の標準語」のような意味になります。
一方、古い沖縄方言は「ウチナーグチ」と呼ばれています。