長野県は、多くの高い山々が連なり、千曲川や天竜川などの大きな川が流れる複雑な地形を持っており、江戸時代には11の藩が存在しました。これが要因で、多様な言葉が生まれています。
長野県の方言は、大きく北信方言、東信方言、中信方言、南信方言の4つの地域に分けられ、さらに新潟と接する奥信濃方言を加えた5つの方言が存在しています。
アクセントは主に東京式で、地形の影響により、地域ごとに方言が異なります。
特に、木曽山脈は方言の境界となっており、この山脈の東西では使われる言葉に違いがあります。奥信濃方言は、新潟県の方言に似た言葉遣いが多く見られます。南信方言では、「行かない」を「行かん」と言ったり、近畿地方の言い回しに似た表現があることがあります。
推量表現の「〜ずら」は、奥信濃方言以外でも使われ、また、「〜しただろう」を「〜つら」と言うことがあります。標準語と同じ形で意味が異なる言葉も多く、例えば、「走る」を「とぶ」と言ったり、「かけっこ」を「とびっくら」と言うことがあります。
さらに、「掛ける」の場合、「かう」という言葉を使います。「行かず」という方言がありますが、これは「行かない」ではなく、「行こう」と誘う時に使われ、「〜しましょう」という意味を表します。
今回は、長野県の方言を五十音順に一覧でご紹介します。
中部地方の方言をまとめてご覧になりたい方は、「中部地方の方言一覧」をご覧下さい。
当サイトの逆引き検索は、「全国方言一覧検索」をご覧下さい。
目次
はじめに:長野県の有名な方言といえばコレ!
長野県の方言を一覧でご紹介する前に、まずは長野県の有名な方言をご紹介します。
あばね
さようなら
ごしたい
疲れた
「ごしたくて ずくがねーずらー」で、「疲れて何もしたくない」という意味。
〜ずら
〜ですよ、〜だろう
あらすか
あるものか
ずく ださねばね
やる気を ださなくちゃね
リンゴがぼけた
リンゴの水分がぬけてぼそぼそした歯ごたえになること
スーパーの前でにあるのが、郵便局ずら?
スーパーの前にあるのが郵便局だろ?
きちんと前でを見なさい
きちんと前を見なさい
ずくなし
なまけもの、おくびょうもの
ずくがぬける
気力がなくなる
まてー
丁寧のこと。
ずくーやむ
なまける、手をぬく
きょう雨ふるんかやー?
きょう雨ふるかなー?
せったか せわねか せってみろ!
言ったか 言わないか 言ってみろ!
ななかまっと
いじめちゃだめだよ
じょんのびだ
楽だ
もーらしー
かわいそう
いかず
行きましょう
わにる
はにかむ
とんで きて!
走って 来い!
へー
もう
みやましい
働きものだ
めた いけねえわい
もう全然 ダメですよ
いただきました
ごちそうさまでした
かがっぺぇ(北信の方言)
まぶしい
もうらしい(北信の方言)
かわいそう
ひどろってぇ(中信の方言)
まぶしい
むごい(中信の方言)
かわいそう
かがっぽしい(東信の方言)
まぶしい
もげぇ(東信の方言)
かわいそう
ひどろっこい(南信の方言)
まずしい
おやげねぇ(南信の方言)
かわいそう
「あ行」長野県の方言一覧
方言 | 意味 |
あばな、あばね | バイバイ、さようなら |
あんじゃない | 心配ない、大丈夫 |
いきる | 調子に乗る |
いただきました | ごちそうさまでした |
いってきました | ただいま |
裏 | 後ろ |
えせむ | 妬む、嫉む、うらやましがる |
おかたしけ | 心から感謝しています |
おつかいです | こんばんは |
おつかいな、おつかいなんしょ | おつかれさまでした |
おつくべ | 正座 |
おった | 落ちた |
おはよーござんす | おはよう |
おめてとーござんす | おめでとう |
おやげねえ | かわいそう、気の毒 |
おらっち | 私の家 |
おりっと | 降りる所 |
「か行」長野県の方言一覧
方言 | 意味 |
かす | 生意気 |
かに、かにな、かにや | ごめんなさい |
かや | ~かなぁ |
かんちょ | チョッキやベスト |
きぶる | すねる |
くつばす | くすぐる |
くつばったい | くすぐったい |
くれる | あげる |
ござんす | ございます |
ごしたい | 疲れた |
こすい | ずるい |
ごむせー | 汚い |
ごめんなんしょ | ごめんください |
こわい | 固い |
こんぼこ | 幼児 |
「さ行」長野県の方言一覧
方言 | 意味 |
さかる | 繁盛する |
さむしー | さびしい |
しなっこい | 軟らかい |
しみる | 凍るように寒い |
しょーしー | 恥ずかしい |
ずく | 精を出す、根気・根性 |
するしない | ~しませんか? |
「た行」長野県の方言一覧
方言 | 意味 |
だだくさもない | たくさんある |
たたる | 建つ |
だに | ~ですよ |
〜だら? | 〜だよね? |
つべてー | 冷たい |
つる | 持って運ぶ |
てきない、ちきない、ちきねー | 疲れた、具合が悪い |
とびっくら | かけっこ |
「な行」長野県の方言一覧
方言 | 意味 |
な | ~ですよ |
なっちょ | どうだ |
ねぶってぇ、ねんぷて | 眠い |
のっとい、のっとこい | 暖かい |
「は行」長野県の方言一覧
方言 | 意味 |
はーるかぶり | お久しぶり |
ひどろい、ひどろっこい | まぶしい |
ぶちゃる | 捨てる |
べと | 土 |
ほぉけえ? | そうなの?そうだっけ? |
ほぉずら | そうだろう、そうでしょう |
ほんで | そして |
「ま行」長野県の方言一覧
方言 | 意味 |
まてい | ていねい、礼儀正しい |
まんず | 全く |
みぐさい | 見苦しい |
めた | やたら |
もーもーし | うっとうしい |
もーらしー、もごらしい、むごらしい | かわいそう、切ない |
「や行」長野県の方言一覧
方言 | 意味 |
やくやく | わざわざ |
やぶちゃ | みんな、大勢 |
「ら行」長野県の方言一覧
方言 | 意味 |
ら~? | ~でしょ? |
「わ行」長野県の方言一覧
方言 | 意味 |
わにる | 人見知りする、はにかむ、照れる |
長野県の方言まとめ
長野県の方言は、かつての信濃国の歴史と広大な地域性に起因して非常に多様です。
長野県の最北端、新潟県に隣接する地域では奥信濃方言が話され、この地域は栄村などが該当します。
次に、長野市や中野市を中心とする北部地域では北信方言が、上田市や佐久市のような東部地域では東信方言が使われます。
さらに、松本市や諏訪市、そして木曽地方を含む中央から西部地域では中信方言が、そして南部の伊那市や飯田市などでは南信方言が話されています。
これらの方言には、一部共通する要素や単語も存在しますが、北部と南部での違いも顕著です。特に、文法や単語選びにおいて差異が見られることが多いです。
明治時代の政策により、信濃国は長野県として一つにまとめられました。しかし、当初「長野」という名前は、現在の長野市の地域だけを指していたため、長野県全体を指す際には「信州方言」という言い方もされることがあります。
このように、長野県の方言は地域ごとの歴史や文化、そして地理的な条件に影響を受けながら発展してきたもので、その多様性は県の大きさと歴史に根ざしています。