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兵庫県の方言を調べるときは、「兵庫弁」という一つの言い方で県内すべてを説明しないことが大切です。兵庫県は歴史的に、摂津(神戸・阪神)、播磨、但馬、丹波、淡路という五つの地域にまたがります。県内の言葉も、暮らしている地域や世代、会話の相手によって異なります。出典:兵庫県「兵庫県の概要」。
例えば「べっちょない」は播磨弁として紹介されるほか、丹波篠山市の郷土資料にも「大丈夫」の意味で登場します(丹波篠山市「この白菜べっちょないけ」)。淡路島で紹介される「べっちゃない」も「問題ない」に近い意味です。また神戸市の公的記録では「しっとう」「やっとう」のような語形が神戸弁の例として紹介されています。兵庫県立図書館の方言講座案内チラシ/兵庫県・淡路島の紹介/神戸市立図書館協議会の記録。
この記事では、出典に記録されている言葉を地域ごとに確認し、代表的な意味・使い方を紹介します。後半の五十音一覧には、関西の広い地域で使われる表現や学校生活での地域的な呼び名も含みます。県内のどこでも、現在すべての世代が同じ言葉を使うという意味ではありません。
関西地方の方言をまとめてご覧になりたい方は、「関西地方(近畿地方)の方言一覧」をご覧下さい。
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兵庫県の方言10例|意味と資料を照合
まず、兵庫県立図書館の講座案内チラシや、県・市の公開資料に掲載された言葉を比較します。県議会サイトの「べっちょない」は高校生による議員への聞き取りをまとめた広報記事、丹波篠山市の資料は地域の言葉を紹介する郷土コラムです。これらは語形・使い方を知る手がかりですが、調査地点・年代・使用頻度を網羅した言語学的な分布調査ではありません。資料に載ることと、兵庫県全域で今も一般的に使われることは区別してください。
| 方言・地域 | 意味・資料の範囲 |
|---|---|
| 播磨・丹波篠山/べっちょない | 「大丈夫・心配ない」。播磨弁としての紹介に加え、丹波篠山市の郷土資料でも使用例が確認できます。出典:県立図書館・兵庫県議会・丹波篠山市「この白菜べっちょないけ」 |
| 淡路/べっちゃない | 問題ない。県の紹介記事に載る淡路島の語形。確認資料:県の地域紹介 |
| 神戸/〜とう(しっとう・やっとう) | 「〜している」に相当する言い方。神戸市の記録に登場。確認資料:神戸市の議事記録 |
| だしけぇ | 「〜だから」。県立図書館の講座案内チラシに掲載。確認資料:県立図書館 |
| せんどぶり | 「久しぶり」。丹波篠山の郷土コラムにも「せんど」(長い間)を用いたあいさつが登場します。出典:県立図書館・丹波篠山市「せんどみぃひんだにぃ」 |
| さんこ | 「散らかった状態」。丹波篠山では人に対して「騒々しい・にぎやか」という意味でも使います。出典:県立図書館・丹波篠山市「ほたえてさんこにする」 |
| なんどいや | 「何?」と問いかける表現。兵庫県立図書館の講座案内チラシにこの語と意味が記載されています。「何ですか」と丁寧語に置き換えられるとは限らず、口調・場面にも注意が必要です。出典:兵庫県立図書館(2022年)。 |
| いけず | 「意地悪」。県立図書館の講座案内チラシに掲載。確認資料:県立図書館 |
| ぶいぶい | 「カナブン」。県立図書館の講座案内チラシに掲載。確認資料:県立図書館 |
| なへ? | 「なぜ?」。県立図書館の講座案内チラシに掲載。確認資料:県立図書館 |
出典:兵庫県立図書館「ひょうごの方言」(2022年講座案内チラシ)、兵庫県「すごいすと」(洲本市・淡路島の「べっちゃない」)、神戸市立図書館協議会(2024年)。播磨の「べっちょない」は兵庫県議会の紹介記事でも紹介されています。
「べっちょない」と「べっちゃない」は同じ?
「べっちょない」は「問題がない・大丈夫」という意味で、播磨の資料に加え、丹波篠山市の郷土コラムにも登場します。一方「べっちゃない」は淡路島の地域紹介で見られる語形です。音が似ていても、使用地域や実際の言い方を一律に決めつけないことが大切です。丹波篠山市の資料には「べっちょないけ?」という問いかけも載っています。丹波篠山市「この白菜べっちょないけ」。
「べっちょない」と「だんない」はどう使い分ける?
丹波篠山市の郷土コラムでは、「べっちょない」=具合や状態に問題がない、「だんない」=気にしなくてもよい・構わないという使い分けを説明しています。例えば、けがをした人に「べっちょないか」と尋ね、その人が病院への付き添いを断るときには「そんなんだんない」と答える場面が紹介されています。どちらも標準語では「大丈夫」と訳せますが、何について大丈夫と言っているかに注目すると違いが分かります。出典:丹波篠山市「そんなんだんないてや」。
神戸の「知っとう」は大阪弁と同じ?
神戸市立図書館協議会の資料には、神戸弁として「しっとう」「やっとう」が挙げられています。神戸市の防災啓発でも「そなえとう?」が使われます。ただし、「兵庫県全域で同じ語尾を使う」とは限りません。出典:神戸市の協議会記録。
「知っとう」「〜てや」「来なった」は同じ意味?
これらを同じ「兵庫弁の語尾」として覚えるのは正確ではありません。神戸の「知っとう」は「知っている」のように動作や状態を表す言い方で、それだけで尊敬語になるわけではありません。一方、播磨・丹波の「〜てや」は「〜ていらっしゃる」に相当する敬語として『全国方言辞典』に載っています。丹波篠山市の「とっとったった」は過去の行動を敬って述べる例で、但馬の「来なった」も「来られた」に当たる表現として記録されています。意味だけでなく、地域・時制・相手との関係も合わせて確認しましょう。神戸市立図書館協議会/『全国方言辞典』「〜てや」/丹波篠山市の敬語の例/豊岡市立図書館。
播磨・神戸・但馬などの区別は?
兵庫県は摂津・播磨・但馬・丹波・淡路の歴史的な五地域を持ちます。神戸市の主要部は摂津に属し、一部には旧播磨国に当たる地域もあります。「神戸市と姫路市は同じ播磨方言」と市全体を一律に扱う説明は正確ではありません。この区分は歴史的な地域分けであり、現在の方言の境界と完全に一致するものでもありません。出典:兵庫県公式・地域の概要。
「はしかい」は一つの意味だけ?
同じ「はしかい」にも「すばしっこい」と「かゆい」の二つの意味があります。『全国方言辞典』の兵庫県の項目には、両方の語義が別々に載っています。豊岡市立図書館の但馬弁資料にも、「はしかいー」が肌のちくちくしたかゆさを表す例が収録されています。どちらの意味かは会話の前後や地域を踏まえて判断しましょう。出典:『全国方言辞典』の「はしかい」/豊岡市立図書館「但馬弁 日但辞書」。
但馬の方言資料はどこまで信用できる?
豊岡市立図書館の「但馬弁 日但辞書」は、地域の人たちから寄せられた言葉を紹介する貴重な郷土資料です。一方、同館は、言語学的な正確さを保証する学術辞典として編集したものではないことも明示しています。そのため、本記事では「但馬で記録・紹介された言い方」と「県全域で現在使われる言い方」を区別します。資料を確認する。
丹波篠山で紹介される方言|市の郷土資料から
ここでは、丹波篠山市の公式サイトで公開されている円増亮介氏の郷土コラムに登場する語形を紹介します。市の説明によれば、筆者は1986年秋から季刊誌『篠山百景』の編集委員として、地域の日常会話を記録していました。市のWeb記事に付く「2021年更新」は、2021年に全世代を調査したことを意味しません。記録された言葉と、現在の使用頻度・年齢層の実態を区別して読み進めてください。資料:丹波篠山市「篠山の方言アラカルト」。
| 丹波篠山の語形 | 意味と使い方 |
|---|---|
| がいよい・がいよう | 具合がよい、使い勝手がよい。家や道具が便利であることなどを褒める文脈で紹介されています。出典:丹波篠山市の方言コラム |
| とっとったった・しとったった | 「取られていた」「されていた」に当たる過去の敬語表現。相手の過去の行動を敬って述べる言い方です。出典:丹波篠山市の方言コラム |
| あっちゃべら・こっちゃべら | 「あちら側・こちら側」という位置・方向の表現です。出典:丹波篠山市の方言コラム |
| はた・ねき | 「近く・そば」。市の紹介では「郵便局のはた」などの言い方が登場します。出典:丹波篠山市の方言コラム |
| かっためごおり・せんぐり | 前者は「かわりばんこで」、後者は「何度も繰り返して」の意味。市の紹介では使う機会が減ってきたとも述べられています。出典:丹波篠山市の方言コラム |
敬語や方向の言い方は、語の形だけでなく場面・相手との関係によって意味が変わります。上の表は丹波篠山市の資料に見られる例であり、但馬・播磨・神戸・淡路にもそのまま当てはまるとは限りません。
兵庫県の方言の意味と使い方|地域差にも注意
ここからは、資料で使用例や意味を確認できた兵庫県内の各地域の言葉を紹介します。同じ県内でも異なる言い方があり、紹介した言葉がすべての地域・世代で現在使われているとは限りません。

代表的な方言の詳しい意味・使い方
だしけぇ・だしけー(但馬での言い方)
「〜だから」という意味の表現です。兵庫県立図書館の講座案内には「だしけぇ」、豊岡市立図書館「但馬弁 日但辞書」には「だしけー」「だでー」「だしきゃー」が載っています。同じ但馬地域でも、但東町では「だしけー」をあまり使わないという投稿があり、地域差に注意が必要です。
あだける
「落ちる・転がり落ちる」という意味です。『全国方言辞典』では淡路の項目に、狭いあぜ道から落ちそうになる場面の用例があります。また豊岡市立図書館の但馬弁資料にも「落ちる」の意味で記録されています。どちらか一地域だけの言葉と断定しないことが大切です。出典:全国方言辞典(淡路)/豊岡市立図書館「但馬弁 日但辞書」。
たんのした(但馬・竹野の記録例)
「十分に満足した」という意味で使われた言い方です。竹野海岸の宿泊施設の現地スタッフは、食事を終えたお客様が「たんのした」と話すと紹介しています。一方、「堪能した」から変化したという語源は同記事でも推測として書かれているため、ここでは断定しません。出典:休暇村竹野海岸・現地スタッフの記録(2023年)。
いぬ・いんでくる
「帰る」という意味です。兵庫県の方言辞典に用例があるほか、豊岡市立図書館の但馬弁資料にも収録されています。丹波篠山市の郷土コラムにも「いんでんけ」(もう帰るのですか)や「いにや」(帰りなさい)の用例が紹介されています。このように但馬以外にも記録がある言葉です。丹波篠山市「えっ、もういんでんけ?」/豊岡市立図書館。
がいよう・がいよい(丹波篠山の例)
「具合がよい」「使い勝手がよい」などを表す言い方です。丹波篠山市の公式郷土コラムでは、家や設備の使いやすさを褒める言葉として紹介されています。出典:丹波篠山市「篠山の方言アラカルト」。
がっせー(但馬・竹野の記録例)
「すごく・たいへん」という強調の言い方です。竹野海岸の現地スタッフは「がっせー、うみゃー」を「すごくおいしい」という意味で紹介しています。この資料が示すのは竹野周辺で紹介された使用例であり、県内全域の使用頻度や語源まで確定するものではありません。出典:休暇村竹野海岸・但馬の言葉の紹介(2023年)。
ごーがわく・ごうわく
どちらも「腹が立つ・非常に怒っている」という意味に関係する言い方です。ただし、語形と掲載地域を混同しないようにしましょう。『全国方言辞典』は淡路の項目に「ごーがわく」を掲載しています。一方、小学館の辞書公式サイトは、播州地方の「ごうわく」とその変化形「ごうがわく」「ごがわく」を取り上げ、実際の音声も公開しています。似た言い方が別の地域でも記録されているということであり、一つの地域に限定する根拠ではありません。『全国方言辞典』淡路の項目/小学館「ことばのまど」(音声付き)。
こまい
「小さい」という意味で、『全国方言辞典』では阪神・播磨・丹波の言い方として紹介されています。「こまいもん」が文脈によって「小銭」を指す例もあります。出典:全国方言辞典「こまい」。
さんこ・さんこにする
「さんこ」は物が散らかった状態を指し、「さんこにする」は「散らかす」の意味です。一方、丹波篠山市の郷土コラムでは、人について「さんこ」と言うと「騒々しい・にぎやかな」という別の意味になります。「ほたえる」(はしゃぐ・騒ぐ)とのつながりも紹介されています。言葉の意味は、何について話しているかによって変わります。兵庫県立図書館の講座案内/丹波篠山市「ほたえてさんこにする」。
ぴりぴり(但馬・丹波篠山での雨の言い方)
雨が少し降っている様子を表す言葉です。豊岡市立図書館の但馬弁資料には「雨がピリピリしてきた」の用例が収録されています。また丹波篠山市の公式郷土コラムでは、傘がなくても短い距離なら歩ける程度の小雨を「ぴりぴり」と表現する例が紹介されています。同資料では「霧雨は『ぴりぴり』とは言わない」と明記しており、「細かい雨ならすべて同じ」という説明は正確ではありません。出典:豊岡市立図書館「但馬弁 日但辞書」/丹波篠山市「篠山の雨はしびれます」。
だんない(丹波)・だんにゃー/だんねー(但馬)
「だんない」は「気にしないで・かまわないよ・大丈夫」という意味ですが、相手の申し出や気遣いに答えるときにも使われます。丹波篠山市の公式郷土コラムでは、状態に問題がない「べっちょない」と、相手に「気にしなくてよい」と伝える「だんない」を区別しています。同じ県内でも但馬の住民投稿資料には近い意味の「だんにゃー」「だんねー」が見られます。資料は現代の県全域の使用実態を保証するものではありません。丹波篠山市「そんなんだんないてや」/豊岡市立図書館。
〜とー(神戸での言い方)
「〜している」に当たる表現。神戸市立図書館の協議会記録では、神戸弁の例として「しっとう」「やっとう」が挙げられ、市の防災啓発の「そなえとう?」も紹介されています。出典:神戸市立図書館協議会の記録。県内の他地域にも全く同じ形が広がっているかは、別の資料で確認が必要です。
ずつない
食べ過ぎて、おなかがいっぱいになり苦しい状態を表します。『日本国語大辞典』を引いた言語学者の解説によれば、古語の「術無し(ずつなし)」に関連し、もとは精神的な苦しさにも使われた言葉が身体的な苦しさを表すようになったとされています。兵庫県以外にも用例のある言葉です。出典:小学館の辞書公式サイト「ことばのまど」(篠崎晃一氏)。
なんどいや
「何?」という問いかけを表す言葉です。兵庫県立図書館「ひょうごの方言」の講座案内チラシにも紹介されています。出典:兵庫県立図書館。
めげる
ものがこわれること
はしかい
兵庫県の方言には「すばしっこい」と「かゆい」の両方の意味があります。人の動きを表すときと、肌や喉のかゆさを表すときでは意味が異なります。出典:『全国方言辞典』。
はよおきよー(但馬の記録例)
「早く起きなさいよ」という意味です。豊岡市立図書館の但馬弁資料に「はよおきよー」という用例が紹介されています。出典:豊岡市立図書館。
べっちょない
「大丈夫」「問題ない」という意味です。播磨弁として知られますが、丹波篠山市の郷土コラムにも用例があります。同市の記事では、野菜の状態を確かめる場面などで「べっちょないけ?」と尋ねる例が紹介されています。そこでは「だんない」(気にしないで・構いません)との使い分けにも触れています。特定の地域だけの表現と決めつけず、使用場面を確認しましょう。県立図書館の講座案内/丹波篠山市「この白菜べっちょないけ」/丹波篠山市「そんなんだんないてや」。
ほな
「それじゃあ・では」という場面の切り替えや別れの際の表現です。「ほなね」は「それじゃあね」に当たり、別れの挨拶にもなります。『全国方言辞典』の兵庫県の項目には「ほな、いんでくるわ」という用例があります。出典:『全国方言辞典』兵庫県の項目。
五十音一覧の読み方:ここには、兵庫県内で記録された地域語のほか、関西各地でも使われる言葉(例:「ちゃう」「ほんま」)や、学校・生活での地域的な呼び名(例:「日番」「海側・山側」)も含まれます。掲載されているからといって「兵庫県だけの方言」という意味ではありません。また、古い記録があっても、現在の使用頻度は別途調査が必要です。
「あ行」兵庫県の方言一覧
| 方言 | 意味 |
| あつかましー(あつかましい) | 「忙しい」。『全国方言辞典』は播磨の「あつかましー」として採録しています。共通語の「厚かましい(図々しい)」とは意味が異なります。出典:全国方言辞典「あつかましー」。 |
| あはー | あほ・ばか(但馬の記録例。豊岡市立図書館) |
| 荒ゴミ | 粗大ごみを指す呼び方の一つ。ただし現在のごみの正式な区分は自治体ごとに異なります。神戸市では「大型ごみ」という名称で、事前申込制・有料収集です。実際に捨てるときはお住まいの自治体の案内を確認してください。参考:神戸市「大型ごみ」。 |
| いける | 「大丈夫・問題ない」の意味だけでなく、文脈によって「できる」「おいしい」などの意味にもなります。質問された場面や対象に応じて訳す必要があります。関西各地で使われる言い方で、兵庫県に限ったものではありません。参考:関西弁百科事典。 |
| いしこい | 「ずるい」という意味。『全国方言辞典』には、人のずるい行動を非難する文脈での用例があります。出典:全国方言辞典・兵庫の項目。 |
| いぬ | 「帰る」。但馬・丹波篠山に記録例(豊岡市立図書館/丹波篠山市「えっ、もういんでんけ?」)。 |
| いらう | 「触る・いじる」。『全国方言辞典』の兵庫の項目では、触ると壊れるかもしれない物について注意する用例が掲載されています。出典:全国方言辞典・兵庫の項目。 |
| いらんことしい | 「余計なことをする人」を指す表現です。単なる行為の「余計なことをする」とは異なり、人を指す名詞的な用法として理解すると自然です。兵庫県だけの言い方とは限らず、関西の他地域でも見られます。参考:大阪弁の用例と解説。 |
| うち | 私 |
| 海側 | 主に神戸・阪神などで海の方を指す方向表現。六甲山地と大阪湾の位置関係から、神戸中心部ではおおむね南側を指します。県公式U5Hにも住民の使用例がありますが、兵庫県全域で「南」と同じとは限りません。参考:兵庫県公式U5H「東西南北より海側山側」。 |
| えらい | 「大変・とても」のほか、体が「しんどい・疲れた」という意味でも使われます。播州の話し言葉を記録した地域メディアにも、「仕事で疲れてえらい」という用例があります。「偉い人」を褒める共通語の意味とは文脈で区別してください。兵庫県以外にも似た用法があり、県固有の表現ではありません。参考:いいものタウン「播州弁あれこれ」。 |
| おーじょーする | 困る |
| おせらしい | 「大人びた」。『全国方言辞典』の淡路の項目に、子どもの成長を述べる用例があります。上郡町の学校長による使用例も確認できますが、この資料だけで全県の使用状況は判断できません。『全国方言辞典』(淡路)/上郡町立山野里小学校。 |
| おなかがおおきい | 「お腹がいっぱいになった」という意味です。大阪を中心とする関西圏で見られる表現で、兵庫県にだけある言い方ではありません。ここでの「大きい」は妊娠や体型の話ではなく、食後の満腹感を表します。出典:小学館の辞書公式サイト(篠崎晃一氏の方言解説)。 |
「か行」兵庫県の方言一覧
| 方言 | 意味 |
| かしわ | 鶏肉 |
| きばる | がんばる |
| こーへん | 来ない |
| ごーがわく | 「腹が立つ」。『全国方言辞典』では淡路の項目にこの語形と用例が掲載されています。播州の「ごうわく」など、近い語形との違いも確認してください。出典:全国方言辞典(淡路)。 |
| ごうわく | 「とても腹が立つ」。小学館の辞書公式サイトで播州地方の表現として紹介され、「ごうがわく」「ごがわく」といった関連形と音声も確認できます。他地域にも類似表現があります。出典:小学館「ことばのまど」。 |
| こそばい | 「くすぐったい」。『全国方言辞典』では淡路の用例が紹介され、但馬には「こそばいい」という言い方もあると説明されています。「いらう(触る)」と組み合わせた例があり、体のくすぐったさを表す語です。出典:全国方言辞典(淡路)。 |
| こまい | 「小さい」。阪神・播磨・丹波の表現として紹介されています(『全国方言辞典』)。「こまいもん」で小銭を表す場合もあります。 |
| こらえてーな | 勘弁してよ |
| 来なった(但馬の敬語形) | 「来られた」に当たる敬語の言い方。但馬の資料には「きなった・きんさった」も記録されています(豊岡市立図書館)。 |
「さ行」兵庫県の方言一覧
| 方言 | 意味 |
| さんこにする | 「散らかす」。播磨・丹波・淡路の表現として紹介され、丹波篠山では「さんこ」を人に用いると「騒々しい」の意味にもなります(『全国方言辞典』/丹波篠山市「ほたえてさんこにする」)。 |
| しばく | なぐる |
| 自分 | 自分自身・私(話者)を指すほか、会話では相手を指す二人称(あなた・君)として使う場合もあります。どちらの意味かは、誰が誰に話しているかで判断します。二人称用法は兵庫県固有ではなく、大阪府北河内地方を対象とした言語学研究にも記録されています。出典:東京外国語大学リポジトリ(二人称「自分」の研究)。 |
| じゃみる | 「壊れる」のほか、話や計画が途中で駄目になる・中止になる意味もあります。『全国方言辞典』では縁談が成立しなくなる用例が紹介されています。「じゃみる」は近世の日本語資料にも現れるため、兵庫県だけに存在する語と断定しません。全国方言辞典/日本国語大辞典。 |
| じゅるい | 「地面や田んぼがぬかるんでいる」という意味。丹波市の農業に関する現地取材でも、泥の状態を指す「じゅるい」の使用例が確認できます。出典:丹波新聞(2026年6月)。 |
| すこい | ずるい(但馬の資料では「すこい」「すっこい」。豊岡市立図書館) |
| せんどぶり | 「久しぶり」。兵庫県立図書館の講座案内に掲載されています。丹波篠山市の郷土コラムには、「長い間」を表す「せんど」を用いた久しぶりのあいさつも紹介されています。出典:丹波篠山市の郷土資料。 |
「た行」兵庫県の方言一覧
| 方言 | 意味 |
| たなもと | 「台所」や、台所で行う炊事を指す言葉です。『精選版 日本国語大辞典』にも「棚元」の項目があり、江戸時代の文献に用例があります。奈良県広陵町の方言資料にも「たなもと=台所」と記録されているため、兵庫県固有の方言ではありません。出典:精選版 日本国語大辞典/奈良県広陵町の方言資料。 |
| ダボ | 「ばか・あほ」を表す播磨・丹波の方言。『全国方言辞典』の地域・意味を参照。人を傷つける場合もあるため使い方に注意が必要です。 |
| だんない | 「気にしないで」「かまわないよ」に近い言い方。丹波篠山市の資料では、状態が大丈夫な「べっちょない」と、気遣いに応じる「だんない」の違いが説明されています。丹波市の移住相談窓口が運営する「だんないラジオ」でも、丹波の方言としてこの意味が説明されています。近世の上方語にも見られるため、兵庫県にだけある語とは限りません。丹波市移住・定住ポータル/丹波篠山市「そんなんだんないてや」/日本国語大辞典。 |
| ちゃう | 違う |
| ちょー | 呼び掛けの「ねえ・ちょっと」に近い表現です。たとえば「ちょー、待って」は「ちょっと待って」の意味になります。共通語の「超(とても)」と混同しないようにしてください。播磨地方の言葉について、地元の話者が「ちょー待って」の「ちょー」は「ちょっと」に当たると説明した記録があります。参考:播磨歴史ネットの会(地元話者のコメント)。 |
| つれ | 友達 |
| どないしたん | どうしたの |
「な行」兵庫県の方言一覧
| 方言 | 意味 |
| なおす | 片付ける |
| なんどいや | 「何?」と問い返す言い方。県立図書館の資料では「なんどいや=何?」と示されています。丁寧な「何ですか」だけでなく、話し方によっては「何だよ?」に近い響きにもなります。出典:兵庫県立図書館。 |
| なんべん | 何回 |
| ねっから | 「もとから・はじめから」の意味があり、否定的な表現とともに使うと「全然・まったく」という意味にもなります。全国的な国語辞典にも載る言い方で、兵庫県だけの方言とは断定できません。出典:小学館『デジタル大辞泉』『日本国語大辞典』。 |
「は行」兵庫県の方言一覧
| 方言 | 意味 |
| はりこむ | 食事などを奢る |
| ばり | 非常に |
| 日番 | 学校の「日直」に相当する当番の呼び名です。兵庫県公式の「兵庫五国連邦(U5H)」には、神戸・阪神や播磨の住民から「日番」と呼んでいたという投稿があります。ただし、これらは住民投稿の体験談であって、県内すべての学校を調べた統計ではありません。「日直」を使う学校もあります。出典:兵庫県公式U5H「日番」の投稿。 |
| ぴりぴり | 雨が少し降る様子。但馬の記録に加え、丹波篠山市の郷土資料にも用例があります。篠山の資料では小雨を表し、霧雨とは区別しています。丹波篠山市の記録。 |
| ぴりぴりする | 「雨が少し降る」という意味。但馬・丹波篠山の資料に記録があります。丹波篠山市のコラムでは、霧雨とは区別して小雨の降り方を説明しています。出典:丹波篠山市/豊岡市立図書館。 |
| へたれ | 根性なし |
| べっちょない | 「大丈夫・問題ない」。播磨での記録に加えて、丹波篠山市の郷土コラムにも使用例があります(兵庫県立図書館/丹波篠山市の資料)。 |
| へんこ | 関西の言い方では偏屈な人・頑固な人・変わり者に近い意味。「変な子」とだけ訳すと、意味が狭くなります。「偏固(へんこ)」には「頑固・偏屈」の辞書記載がありますが、口語「へんこ」の語源まで確定するものではありません。参考:小学館『日本国語大辞典』ほか「偏固」。 |
| ほかす | 捨てる |
| ほなね | それじゃあね |
| ほんま | 本当 |
「や行」兵庫県の方言一覧
| 方言 | 意味 |
| やってもうた | やってしまった |
| やにこい | 「弱々しい・もろい・壊れやすい」に当たる意味で兵庫県の方言辞典に収録されています。小学館の国語辞典でも「やにこい(脂こい)」に「か弱い・もろい」の意味が載っています。一方、和歌山の方言辞典には「ものすごい」という異なる意味で収録されています。語形が同じでも地域によって意味が異なります。小学館『デジタル大辞泉』/『全国方言辞典』和歌山の語義。 |
| 山側 | 主に神戸・阪神などで六甲山地など山の方を指す方向表現。神戸中心部ではおおむね北側ですが、場所によって方角は異なります。方言の単語というより、その土地の地理に根差した道案内の言い方です。参考:兵庫県公式U5H「東西南北より海側山側」。 |
| よーさん | たくさん |
「わ行」兵庫県の方言一覧
| 方言 | 意味 |
| ワヤ | 無茶・めちゃくちゃな状態を表す言い方で、但馬の資料に記録されています。また丹波篠山市の郷土資料には「わやにかまされる」という関連表現があり、「大変な目に遭う・ひどい迷惑を受ける」と説明されています。丹波篠山市の記録/豊岡市立図書館。 |
兵庫県の方言まとめ
兵庫県には、摂津(神戸・阪神)・播磨・但馬・丹波・淡路という歴史的な五つの地域があり、地域ごとに言葉の特徴も異なります。これは理解のための大まかな地理区分であり、現在の方言の境界と完全に一致するものではありません。出典:兵庫県公式「兵庫県の概要」。
県北部の豊岡市周辺は但馬地域、姫路市周辺は播磨地域、丹波篠山市周辺は丹波地域、淡路島は淡路地域です。神戸市の主要部は摂津に属し、西区・垂水区などは旧播磨国に当たる部分もあるため、神戸市全域と姫路市周辺を同一の播磨方言として扱うことはできません。 出典:兵庫県教育委員会「ふるさと兵庫魅力発見」。
神戸市の記録では「しっとう」「やっとう」という語形が神戸弁の例として紹介され、市の防災啓発でも「そなえとう?」が使われています。これを県全域の言い方としたり、「中国地方の言葉から必ず変化した」という語源を断定したりすることは避けます。出典:神戸市立図書館協議会の議事記録。
「べっちょない」は播磨に加え丹波篠山にも記録があり、丹波篠山市の郷土コラムでは「だんない」(気にしなくてよい)との使い分けが示されています。一方、淡路島には「べっちゃない」という近い語形の紹介があります。県名だけでなく、資料が指す地域・文脈を確かめることが大切です。丹波篠山市「そんなんだんないてや」/全国方言検索から他の語も調べられます。
出典と掲載範囲:掲載語の意味や地域は、方言辞典・図書館資料・自治体の郷土記録などを基に紹介しています。資料には採録時期や使用地域の限られるものがあり、記録された言葉が現在の兵庫県全域で使われていることを示すものではありません。資料によって語義や語形が異なる場合は、その違いを区別して説明しています。












