関東地方では、関東方言と八丈島方言の2つに分かれます。関東方言は東関東方言と西関東方言に分かれ、アクセントは東関東方言と八丈島方言では同音の語のアクセントによる区別がありませんが、西関東方言は東京式です。また、東関東方言では「い」と「え」に、西関東方言の一部では「し」と「ひ」に区別がなく、「ぺーぺー言葉」と言われる「〜べー」「〜ぺー」が文の終わりに使われます。
この記事では、関東地方(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・神奈川・東京)の方言を一気にまとめてご紹介します。
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茨城県の方言
茨城県方言は北部、中部、西部、南部の4つに分類され、特に南部では共通語化が進んでいます。発音や語尾の特徴があり、「い」と「え」が混同されることや、「か行」と「た行」の音が濁ることが一般的です。代表的な言葉に「いしけー」や「しみじみ」があり、独特の文法や敬語表現も見られます。関東北部に位置するため、東北と関東の言葉が混ざる特徴があります。
方言 | 意味 |
あおなじみ | 青あざ |
あがまっかん | 赤色 |
あしこ | 足 |
あっぱとっぱ | あたふた |
いーきび | いい気味 |
いかがっぺな | いいでしょう |
いぎあう | 出会う |
いし | 電池 |
いしゃれ | どけ |
いじちかん | 1時間 |
えがえ | 大きい |
えしけー | よくない |
えまっと | もっと |
おっぱじめる | 始める |
おばんかたです | おつかれさまでした |
きれーだ | 嫌いだ |
けえり | 帰り |
けんなるえ | うらやましい |
ごじゃっぺ、ごじゃはげ、ごじゃぶろ、ごちゃっぺ | でたらめ |
こわい、こわっちー | 硬い |
こわえ | 疲れた |
さむしー | さびしい |
じっじ | おじいさん |
ずるえ | ずるい |
せえせえする | すっきりする |
そうすっと | そうすると |
そそらそっぽ | いいかげんに |
そっぺ | 傾斜地 |
ぞんき | 愛情が薄い、思いやりが無い、無愛想 |
だいじ | 大丈夫 |
たかっぽ | 高いところ |
ちぐつき | 嘘つき |
ちくらっぽ | 嘘 |
つかめーる | つかまえる |
でれ | バカ |
つっけーし | 口答え |
でーぐ | 大工 |
でーごん | 大根 |
でごじゃれ | 役に立たない |
でれごんじゃう | やる気が無い |
としょり | 年寄り |
ぬめっこい | ぬるぬるしてる |
ねつい | 熱心な |
ねちっぺおこす | すねる |
ねびゃあ | 寝よう |
のっこのっこ | 暖かい |
ばがみっちょ | バカみたい |
はつかしえ | 恥ずかしい |
ばっぱ | おばあさん |
はらくぢー | お腹がきついー |
ひーもーし | 火を燃やす |
ひぐれかた | 夕方の薄暗い時 |
びしゃんこ | つぶれる |
ひっぱり | 親戚 |
ひゃっこい | 冷たい |
ひゃっこえ | 冷たい |
ひゃっこひゃっこ | 寒い、冷たい |
ほんこ | ほんと? |
みじゃける | 潰れる |
みんなら | みなさん |
もさい | カッコ悪い、ダサい |
やっかいかける | お世話になる |
ゆうかい | 楽しい |
よんど | どうしても |
わぎゃねー | 大丈夫 |
んだちけな | そうなんだってねー |
栃木県の方言
栃木県方言は北部と南部に分けられ、東北や関東の言葉の影響を受けています。アクセントは主に区別されず、しり上がり調が特徴です。発音では「い」と「え」が混同され、また「か行」や「た行」の音が濁ります。敬語表現は独特で、「ございます」が「がんす」や「ござんす」と言われます。
方言 | 意味 |
あしたあさって | 明後日 |
あったらもん | 大切なもの |
あつっこい | 厚い |
あっぽ | おもち |
あるって | 歩いて |
あんぽんたん | ろくでなし |
いかんべ | いいでしょう(同意の意味) |
いごう | 出かける |
いってみる | 失礼する、帰る |
いぶい | けむい |
いんない | いらない |
うすばが | バカ |
うっちゃる | 投げ捨てる事 |
うら | 後ろ |
えんがみた | ひどい目にあう |
おこんじょ、おこんじょー | 意地悪 |
おしゃんこら | 座る |
おっかける | 追いかける |
おばんです | こんばんは |
おにむし | クワガタ虫 |
おぬぐる | おにぎり |
おわす | 終わらせる |
がかい | 図体 |
かっぺなす | けなす |
がめる | 横取りする |
がんす(ござんす) | ございます |
きかない | 悪ガキ |
きうきうに | 急いで |
くさる | ぬれる |
ごじゃっぺ、ごじゃはげ、ごじゃぶろ、ごちゃっぺ | でたらめ |
こでらんねぇ | とにかく素晴らしい、とにかく辛い |
こっぱずかしー | 恥ずかしい |
こないだ | 先日 |
こむ | 取り込む |
こわい、こわぐなった | 疲れた、しんどい |
さむしー | さびしい |
しゃああんめよ | 仕方ない |
しこーばる | 気取る |
しんなりがんじょー | 見かけによらず丈夫 |
そーなんけー | そうですか |
だいじ | 大丈夫 |
ちがかった | 違っていた |
ちく | 嘘 |
ちくらっぺ | 嘘つき |
ちくらっぽ、ちくらっぺ | うそ、うそをつく |
ちみでー | 冷たい |
ちゃぶれる | つぶれる |
ちんたら | 遅い |
ちんにくる | つねる |
てばたき | 拍手 |
でれすけ | 愚か者 |
てれてれ | たらたら |
ととろずく | 慌てる |
なじょすべー | どうしよう |
はかいく | はかどる |
はそんする | 修理する |
はらくち | お腹がきついー |
ぶしょったれ | だらしない、不潔 |
ぶすくれる | ふてくされる |
ふりがいーひと | 美人 |
ぼっこす | 壊す |
まかる | 訪ねる |
まさか | さすが |
むれる | 漏れる |
らいさま | 雷 |
わすら | いたずらする事 |
群馬県の方言
群馬県の方言は「上州弁」とも呼ばれ、歯切れの良い言葉と「べえ」「だんべえ」をつける語尾が特徴です。方言は東部方言とその他の地域(北部、中部、西部)に分かれます。アクセントは、東部の一部では栃木県や茨城県の方言に近く、それ以外は東京式です。文法では敬語表現が簡略化され、「〜な」「〜むし」などが使われることがあります。また、桐生市では絹織物産業が盛んだったため、養蚕に関連する言葉が多く残っています。
方言 | 意味 |
あんじゃねー | 心配ない |
いきある | 偶然出会う |
いちかる | 乗る |
いますでっこ | もう少しで |
うんと | いっぱい |
えんと | 座る |
おーふー | 気前がいいさま |
おこんじょ、おこんじょー | 意地悪 |
おだいじなさい | お大事にしてください |
おっこちる | 落ちる |
おったまげた | 驚いた |
おっぺす | 押す |
かけりっこ | 徒競走 |
かたす | 片づける |
かたらせて | 仲間にいれて |
かわりばんてんこ | 代わる代わる |
かんます | かき回す |
きいがわるい | 不快だ、心地良くない |
きない | 来ない |
くっちゃべる | 話す |
けぇる | 帰る |
ごまだ | ずるい |
ごめんなんしょ | ごめんなさい |
こわい | 固い |
さむしー | さびしい |
ずー | まゆをつくる蚕 |
ずでー | すっかり |
そらっぺ | 嘘つき |
だいじ | 大丈夫 |
たまか | ものを大事にする人 |
たれこ | まゆをつくらない蚕 |
ちっけっと | じゃんけんポイ |
ちっとんべえ | 少し |
つぐあさ | 翌朝 |
てんがけ | いきなり |
てんで | とても |
でんぼつき | うそつき |
とろびー | しょっちゅう |
なげる | はしっこい |
なっから | ほとんど、そうとう |
ねつい、ねづい、ねっつい、ねつこい | 綿密で丁寧、熱心 |
はーけるんきゃ | もう帰るのですか? |
はしかい | すばしこくてずる賢い |
はしっこい | 素早い |
はばったい | むくむ |
ひっぺがす | 引っぱり剥がす |
ひゃっくー | 冷たい |
まっと | もっと |
めかご | ものもらい |
めた | しょっちゅう |
めっかる | 見つかる |
もす | 燃やす |
やっとこさ | どうにか |
よいじゃねぇ | 楽じゃない |
よす | やめる |
わっきゃない | 簡単な |
埼玉県の方言
埼玉県は昔から交通が盛んで、関東地方のさまざまな言葉が混ざり合い、東部方言、中部方言、西部方言に分かれています。現代では東京近郊への通勤・通学が増え、標準語化が進んでいます。アクセント面では、東部方言は独特で、中部・西部方言は東京式です。文法的には、群馬県の「〜むし」が埼玉県では「〜ねえ」「〜だね」と使われます。
方言 | 意味 |
ああみ | だめ、行けない |
あーね | あ、そうだね |
あいけんち | じゃんけんぽん |
あさっぱら | 朝 |
あちゃ | それでは |
あついんねぇ | 暑いですね |
あにー | お兄ちゃん |
あわい | 普段 |
いぶい、いびい | 煙たい、煙が目にしみる |
いまし | 今 |
いんごっぱち | 頑固者 |
うちゃる(うっちゃる) | 捨てる |
うでっこき | 思いっきり |
うわっぱり | 上着 |
えぶ | 歩く、行く、来る |
えら | 大層 |
えんちょする | 座る |
えんでった | 出かけていった |
おこんじょ、おこんじょー | 意地悪 |
おだあげ | 無駄話 |
おっつぁばく | 引き裂く |
おっぺす | 押す |
おぶー | 背負う |
おれげ | 俺の家 |
かくねがんしょ | かくれんぼ |
かったりー | 疲れた |
かったるい | だるい |
かんまする | かきまぜる |
きない | 来て下さい |
きぬー | 昨日 |
ぎぴん | 美人 |
きょーび | 今日 |
くちべろ | くちびる |
けったりー | 疲れた |
けなりー | うらやましい |
こそこそ | こつこつ |
ささらほうさら | めちゃくちゃ |
すっぱたく | たたく |
ずれー | ずるい |
ずんねー | かなり大きい |
そうだがね、そうだいねぇ | そうですね |
そうなん! | そうなんですか |
そらっぺ | 嘘つき |
ちっとんべー | 少しばかり |
ちょーきゅー | ちょうど、ぴったり |
ちょちょべっこ | 蝶々 |
てんづけ | いきなり |
でんまぁ | あらまぁ |
なす | 返す |
なんなん | なんなの? |
ぬくとい | 暖かい |
のくとい | 暖かい |
はぐ | 靴下などの片方が違う |
びしょったれ | だらしない、不潔 |
ひっちらかす | ちらかす |
ひゃっこい | 冷たい |
べえ | 〜だろう |
ほろきだす | 吐き出す |
まっちろ | 真っ白 |
むじっけー | かわいい |
やっこい | 柔らかい |
千葉県の方言
千葉県では東京との交流が多く、標準語が一般的ですが、一部地域では方言が残っています。東北部方言、西北部方言、南部方言の3つに分かれ、それぞれ特徴があります。利根川流域はアクセントがなく、他地域は東京式アクセントです。東北部方言は発音が東北地方の南奥方言に似ており、南部方言ではカ行の子音が消えたり、ハ行に変化することがあります。文法も地域ごとに特徴があります。
方言 | 意味 |
がい | たくさん |
かたす | 片付ける |
かなつらい | だるい |
かんくるりんと | すっかり |
きりょーよし | 美人 |
くさる | 錆びるつったる |
くれる | もらう |
ごじゃまんかい | まとまりがない |
ごじゃらっぱ | 分からず屋 |
こわい | 疲れた、しんどい |
しちくでー | しつこい、くどくどうるさい |
しみじみ | しっかり |
じゅんぐり | 順番に |
しょーがねー | 困る |
そこらまし | そこらへん |
だけっと | そうだけれども |
だます | 赤ちゃんをあやす |
たまたま | ちょうどその時に |
ちっくり | 背が低い |
ちゃける | 壊れる |
ちょこしんぽ | 嘘つき |
つったる | 追突する |
ぬくとまる | 温まる |
ぬっくい | 暖かい |
ねねこ | 赤ちゃん |
のさくさ | ノロノロ |
のっこのっこ | 暖かい |
びたびた | びしょびしょ |
ひっちゃかめっちゃか | しっちゃかめっちゃか |
ひでっぼしー | まぶしい |
ひゃっけ | 冷たい |
ひゃっこひゃっこ | 寒い、冷たい |
ふーがわりー | 体制が悪い、見苦しい |
ぶしかる | 座る |
ぼっける | 転ぶ |
ほねっき | 思いっきり |
まぎめ | つむじ |
までる | 物をしまい込む |
まるっぽ | まるごと |
めねぐも | ものもらい |
もってぶる | 気取る |
もやもやしー | もったいない |
わーか | 少し |
神奈川県の方言
神奈川県の言葉は北部方言と南部方言に分かれ、東京都との交流により共通語化が進んでいますが、一部地域では独特な言葉が残っています。アクセントは東京式で、発音は東京の下町方言に似ることが多いです。「〜じゃん」は神奈川県の代表的な方言で、「〜ではないか」の意味を持ち、若者を中心に全国的に使用されています。
方言 | 意味 |
あさっぱら | 朝早く |
あっちかし | あちら側 |
あやくる | ごまかす |
あるって | 歩いて |
あんがたぁ | ありがとう |
あんきだ | 安心だ |
あんで | なんで? |
いさしかぶり | ひさしぶり |
うざったい | うざい |
うざってー | 気味が悪い |
うそんこつくな! | 嘘をつくな |
うち | 私 |
うっちゃる | 捨てる |
いとど | いっそう |
うそこ | 仮に |
うたてー | いくじなし |
うんめろ | 大量に |
おっかねー | 怖い |
おやげねえ | かわいそう、気の毒 |
かたす | 片付ける |
かったるい | めんどくさい |
角っこ | 角 |
がめる | 困る |
きょーこつ | 大げさ |
くっちゃべる | 雑談をする |
けぇる | 帰る |
けっぱぐる | ボールなどを蹴りとばす |
こっちかし | こちら側 |
ごっちょきる | 手間がかかる |
ごとーべー | ひきがえる |
さびっ | 寒い |
~したっけ | ~したら |
しゃっこい | 冷たい |
〜じゃん | 〜でしょ、〜ではないか |
ずつなし | すべがない |
すんげえ | すごく |
せーだゆー | じゃがいも |
ちげーよ | 違うよ |
ちょー | すごく |
ちょこっと | ちょっと |
でけー | 高い、大きい |
とっぽい | かっこいい |
なにげ | なんとなく |
にまいじた | 嘘つき |
はしっちょ | 端っこ |
Pパン | ブルマ |
ひゃっこい | 冷たい |
へたこた | たくさん |
べんきょーする | がんばる |
まごらまごら | まごまごする様子 |
もさりもさり | のろまな様子 |
ゆんべ | 昨晩 |
横入り | 割り込み |
横っちょ | 横にある |
わかんない | わからない |
東京都の方言
東京都の言葉は、主に共通語が使われるものの、山の手方言、下町方言、多摩方言、伊豆諸島方言の4つに分かれています。これらの方言は、地域ごとに独自の特徴があります。伊豆諸島方言は、各島ごとに異なる表現が見られ、特に八丈島方言は独自性が強く、古い日本語の要素が残っています。
八丈島の言葉では、「おめえ」が【あなた】の最も丁寧な表現で、「御前(おんまえ)」から派生しています。友人や奥さんには「おまい」と言い、喧嘩の時には「うぬ」「なれ」と言います。八丈島方言の文法では、例えば「〜う」「〜よう」に相当する表現は、「〜べい」「〜のー」で表されます。また、「深い海」は「深け海」、「行くとき」は「行ことき」のように、他の方言とは異なる表現が用いられています。
このように、東京都の言葉は地域ごとに独自の特徴を持ち、特に八丈島方言は古い日本語の面影を色濃く残しています。
方言 | 意味 |
赤目引張る | 無我夢中 |
あさけ(八丈島の方言) | 朝食 |
あたぼう | 当たり前 |
あんだって? | なんだって? |
あんまり | あまり |
いかさま | 詐欺 |
いけしゃあしゃあ | あつかましい |
痛やの玉霰(いたやのたまあられ) | 体をぶつけた時に「痛っ」の代わりに使う |
うざい | うっとおしい |
おいら | 私・僕・俺 |
おこっちゃった | 怒った |
おじゃる(八丈島の方言) | いらっしゃる |
おっかない | おそろしい、恐い |
おてんとうさま | 太陽 |
おみおつけ | 味噌汁 |
おめざ | 朝食前に食べる甘いお菓子 |
かたじけない | 助けていただいてありがたい |
かたす | 片付ける |
かむ(八丈島の方言) | 食べる |
勘助 | もう、エッチなんだから |
清盛さん | 熱くなっている人 |
きりあい | 割り勘 |
くださいな | ください |
景清 | 悪い人 |
ごき(八丈島の方言) | 茶碗 |
ごきげんよう | さようなら |
こけら | 魚の鱗 |
ごらごら(八丈島の方言) | 早く |
しゃしゃる | でしゃばる |
しょっぱい | 塩辛い |
しょっぱな | 最初から |
しんぺぇすんな | 心配するな |
せがむ | ねだる |
だいじない | 問題ない |
だべる | くだらないお喋りをする |
たもれ(八丈島の方言) | してください |
〜ちゃった | 〜してしまった |
ちょうらかす | からかう |
でかい | 大きい |
てやんでぃ | 何言ってやがる |
なにげに | なんとなく |
なり | 服装、格好 |
のっかる | 乗る |
ひゃっこい | 冷たい |
ぺっちゃんこ | まっ平 |
べらぼー | バカ野郎、ひどく |
まっつぐ | まっすぐ |
水菓子 | 果物 |
むす(八丈島の方言) | 燃す |
めっける | 見つける |
めならべ(八丈島の方言) | 少女 |
もうせん | ずっと前 |
ようけ | 夕食 |