方言は日本の歴史の中で非常に古い時代から存在していました。
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方言はいつの時代からあるの?
奈良時代に成立した「万葉集」という歌集には、方言を使用した歌が収録されており、これにより1300年以上前からすでに方言が日常的に使われていたことが示されます。
特に、「万葉集」には「東歌(あずまうた)」というセクションが存在し、これは現在の関東地方を中心とした地域の人々が作った歌を集めたもので、その地域特有の言葉や表現が多く見られます。
当時の奈良の都の人々は、関東や東北の地域で話されている言葉が標準的な言葉と異なることを知っており、「東国方言」として認識していました。
例として、打ち消しの表現の違いや、「ことば」を「けとば」と表現するなど、明確な違いが見られました。
さらに、江戸時代中期には、全国的な方言の辞典「物類称呼」が越谷吾山という俳人によって作成されました。
この辞典には約4000語の方言が収録されており、それにより、江戸時代には現代の方言とほとんど変わらない言葉が各地で使われていたことが伺えます。
具体的には、「まゆ」の呼び名が関西では「まゆげ」、関東では「まみあい」、奥州では「こうのけ」というように、各地で異なる名称が存在していました。
この事実から、方言は長い時間を経て形成され、使用され続けてきたことが理解できますが、具体的に方言がいつごろできたのかは明確にはわかっていません。
ただ、方言に関する最も古い記録は奈良時代の「万葉集」にあり、そこから方言の存在が確認できます。
方言の歴史を表でわかりやすく簡単に解説
項目 | 詳細・情報 |
---|---|
方言の存在 | 古い時代から日本に存在していた。 |
最古の方言の記録 | 「万葉集」(奈良時代成立)に方言を使用した歌が収録されている。 |
「東歌」について | 「万葉集」のセクション。関東地方を中心とした地域の歌が集められ、地域特有の言葉や表現が多く見られる。 |
「東国方言」の認識 | 奈良の都の人々は、関東や東北の言葉が都の標準言葉と異なることを知っていた。これを「東国方言」と認識。 |
江戸時代の方言辞典 | 「物類称呼」。越谷吾山が約4000語の方言を収録。現代の方言と類似した言葉が多いことから、江戸時代には現代と似た方言が存在していた。 |
方言の変遷 | 奈良時代の「万葉集」から江戸時代の「物類称呼」までの間に方言の形成と使用が確認できる。 |
方言は時代とともに変化し続けている
方言は一般に高齢者が使用する言葉と捉えられがちですが、実際には方言は現代でも変化し続けており、新しい言葉や表現が若い世代を中心に生まれています。
この新しい方言は「新方言」と呼ばれ、特に若者が多く使い、その使用者が方言と認識しており、また共通語では使われない言い方が特徴として挙げられます。
例えば、強調語の「めっちゃ」も新方言として捉えられるでしょう。
新方言の広まり方にはいくつかのパターンが存在します。
一つの典型的なパターンは、関東地方から東京に言葉が入り、そこから全国に広がるものです。
この例として「うざい」や「じゃん」などの言葉が挙げられます。また、言葉を短縮して発話しやすくする変化も見られます。
近年では、大阪弁が特に影響力を持っていることが分かります。
大阪弁には、他の共通語にはない特有の味わいや温かみがあり、これが全国的に受け入れられています。
例えば「まったり」や「しんきくさい」といった言葉は、元々の意味から変化して新しい意味を持つようになっています。
しかし、新方言は東京だけでなく、全国のさまざまな地域で生まれています。
特に西日本では「行かんかった」という表現が若者を中心に広がっており、名古屋や岐阜周辺では「しないかん」や「しなかん」といった表現が見られるなど、地域ごとの新しい言葉や表現が増え続けています。
このように、方言は時代とともに変化し続けており、それぞれの生活スタイルや文化、環境に合わせて新しい表現が日々の暮らしの中で生まれているのです。
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