東京都の言葉は主に共通語が使われますが、山の手方言、下町方言、多摩方言、伊豆諸島方言の4つに分けられます。
下町、山の手、多摩地方では地域ごとに言葉が異なりますが、八丈島など伊豆七島では古い言葉が残り、独特の言葉が使われています。
山の手方言と下町方言は江戸時代の言葉が引き継がれ、標準語の基礎となっています。下町方言では「し」と「ひ」の発音が混同されることがあります。現在は、山の手方言と下町方言の差はほとんどなく、多摩方言とも大きく違いません。アクセントは東京式が一般的です。
伊豆諸島方言は島ごとに異なり、今も話されています。八丈島方言は独自性が強く、他の東京方言とは異なる言葉が残っています。また、母音が重なる場合、「あえ」「いえ」は「えー」になります。
伊豆諸島方言では日本語の文法にも独特の表現があります。例えば、「〜ない」は「〜ん」、そして「〜う」「〜よう」に相当する表現は「〜ずら」となります。伊豆諸島方言は各地で話され、他の日本語方言とは異なる表現が存在します。
⭐八丈島の方言
八丈島の言葉には、約1200年前の万葉集が成立した時代の言葉が残っており、「おめえ」は「御前(おんまえ)」から派生し、【あなた】の最も丁寧な表現です。
奥さんや友達には「おまい」、喧嘩時には「うぬ」「なれ」と言います。
八丈島方言ではアクセントの区別はなく、代表的な言葉に「おじゃる」(「いらっしゃる」の意味)や「たもれ」(「してください」の意味)があります。これらは敬語ですが、古い言葉が残っているため他の方言と異なる表現方法が存在します。
文法では、「〜う」「〜よう」は「〜べい」「〜のー」で表現し、「行こう」は「行くべい」「行くのー」となります。また、「深い海」は「深け海」、「行くとき」は「行ことき」のように、他の方言と違う表現が用いられています。
八丈島方言は独自の特徴を持ち、古い日本語の要素が色濃く残っていることがわかります。
今回は、東京都の方言を一覧で五十音順にご紹介します。
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目次
はじめに:東京都の有名な方言といえばコレ!
東京都の方言を一覧でご紹介する前に、まずは東京都の有名な方言をご紹介します。
おっかない
恐ろしい
おちゃっぴー
おしゃべりで元気な女の子のこと。
とっとと かたしとくれ!
さっさと 片づけてくれ!
ごめんあそばせ(山の手方言)
ごめんください
おじゃりやれ(八丈方言)
いらっしゃい
まっつぐ
まっすぐ
てやんでー!(べらんぼうめー!)
なにいってるんだ
でーこん(江戸ことば)
大根
てやんでえ こちとら ちゃきちゃきの江戸っ子よ
何言ってるんだ、こっちは生まれながらの江戸っ子だぞ
ごめんくださいまし
ごめんくださいませ
おみおつけ
味噌汁
このいぬ なつっこいね
この犬 人なつっこいね
いけずうずうしい やつだ
あつかましい やつだ
おじゃる(八丈島の方言)
いらっしゃる
たもれ(八丈島の方言)
〜してください
とっぱなに あてられちゃったよ
はじめに あてられてしまったよ
べらぼー
「ばかやろう!」と人をののしる言葉。
おいしゅうございました(山の手方言)
おいしかったです
からっきし だめだ
全然 だめだ
うでっこきの わかいしゅですんで
腕のきく 若者ですので
おっかない
こわい
やぼよー
つまらない用事のこと。
うざったい(多摩の方言)
うっとうしい
おいであそばす(山の手の方言)
おいでになる
こりゃ めでてえ(下町の方言)
これは おめでたい
もっておじゃれ(八丈島の方言)
もってください
おやすみやれ(八丈島の方言)
おやすみなさい
「あ行」東京都の方言一覧
方言 | 意味 |
赤目引張る | 無我夢中 |
あさけ(八丈島の方言) | 朝食 |
あたぼう | 当たり前 |
あんだって? | なんだって? |
あんまり | あまり |
いかさま | 詐欺 |
いけしゃあしゃあ | あつかましい |
痛やの玉霰(いたやのたまあられ) | 体をぶつけた時に「痛っ」の代わりに使う |
うざい | うっとおしい |
おいら | 私・僕・俺 |
おこっちゃった | 怒った |
おじゃる(八丈島の方言) | いらっしゃる |
おっかない | おそろしい、恐い |
おてんとうさま | 太陽 |
おみおつけ | 味噌汁 |
おめざ | 朝食前に食べる甘いお菓子 |
「か行」東京都の方言一覧
方言 | 意味 |
かたじけない | 助けていただいてありがたい |
かたす | 片付ける |
かむ(八丈島の方言) | 食べる |
勘助 | もう、エッチなんだから |
清盛さん | 熱くなっている人 |
きりあい | 割り勘 |
くださいな | ください |
景清 | 悪い人 |
ごき(八丈島の方言) | 茶碗 |
ごきげんよう | さようなら |
こけら | 魚の鱗 |
ごらごら(八丈島の方言) | 早く |
「さ行」東京都の方言一覧
方言 | 意味 |
しゃしゃる | でしゃばる |
しょっぱい | 塩辛い |
しょっぱな | 最初から |
しんぺぇすんな | 心配するな |
せがむ | ねだる |
「た行」東京都の方言一覧
方言 | 意味 |
だいじない | 問題ない |
だべる | くだらないお喋りをする |
たもれ(八丈島の方言) | してください |
〜ちゃった | 〜してしまった |
ちょうらかす | からかう |
でかい | 大きい |
てやんでぃ | 何言ってやがる |
「な行」東京都の方言一覧
方言 | 意味 |
なにげに | なんとなく |
なり | 服装、格好 |
のっかる | 乗る |
「は行」東京都の方言一覧
方言 | 意味 |
ひゃっこい | 冷たい |
ぺっちゃんこ | まっ平 |
べらぼー | バカ野郎、ひどく |
「ま行」東京都の方言一覧
方言 | 意味 |
まっつぐ | まっすぐ |
水菓子 | 果物 |
むす(八丈島の方言) | 燃す |
めっける | 見つける |
めならべ(八丈島の方言) | 少女 |
もうせん | ずっと前 |
「や行」東京都の方言一覧
方言 | 意味 |
ようけ | 夕食 |
東京都の方言まとめ
東京都の方言は、大都市の中心部とその周辺、そして多摩地域や離島部にわけて考えることができます。都心の新宿区や文京区あたりを中心とする地域は、昔からの高台にあたる山の手と呼ばれる地域で、山の手方言として知られます。ここでは、特にていねいな言葉遣いが特徴的であったとされています。
一方、台東区や墨田区、江東区などの下町地域では、下町方言が話されていました。こちらの方言の特徴として、かつて「ヒ」と「シ」の発音が混同されることがあったのが挙げられます。例えば、「東」が「シガシ」と発音されたり、「7」が「ヒチ」と発音されたことが知られています。しかし、近年では共通語化が進み、このような特徴も減少してきています。
多摩地域では、多摩方言が話され、東京都心部とは異なる特徴を持つことが知られています。
さらに、東京都には伊豆諸島などの離島が含まれており、これらの地域でも独自の方言が存在します。中でも八丈島の八丈方言は非常にユニークで、古い時代の日本語が色濃く残っています。「おじゃる」や「たもれ」といった独特な表現が使われているのが特徴です。
このように、東京都は1つの都道府県でありながら、その地域ごとに多様な方言の特徴を持っています。