バター、マーガリン、ファットスプレッドは、日常の食生活で頻繁に使われる食品の脂肪分であり、似ているようでそれぞれ異なる性質や成分を持っています。
「バター」「マーガリン」「ファットスプレッド」の意味・違い
バターとは
バターは、牛のミルクから分離したクリームを練り固めて作られ、主に乳脂肪から成る食品です。
この乳脂肪がバター特有の濃厚な風味や口当たりを生み出しています。
バターの規格は、乳脂肪分が80%以上、水分が17%以下で定められており、その深いコクと香りから、多くの料理やデザートに使用されています。
しかし、バターは動物性脂肪を主成分とするため、コレステロールを含む点に注意が必要です。
マーガリンとは
マーガリンは、植物性脂肪を主成分とする食品で、バターが高価であった時代にその代替品として開発されました。
主にコーン油や大豆油、菜種油などの植物油を原料とし、これらの油脂が混ぜ合わされて製造されます。
油脂含有率は80%以上で、乳成分や食塩、着色料、ビタミンなどが追加され、バターのような風味や食感を模倣しています。
そのため、マーガリンはバターよりも柔らかく、特有の風味やコクは少なめです。
ファットスプレッドとは
ファットスプレッドは、マーガリンに似ていますが、油脂含有率が80%未満と定義されており、より多くの水分を含むのが特長です。
これにより、カロリーが低く、パンに塗るときの柔らかさが特長となっています。
ただし、加熱調理には向かないことが多いです。
トランス脂肪酸とは
トランス脂肪酸は、心臓病のリスクを高めるとされています。
以前、マーガリンはそのようなトランス脂肪酸を多く含むとされ、健康上の懸念が広がっていました。
しかし、加工油脂を製造する企業は技術の改良により、現在のマーガリンのトランス脂肪酸含有量はかなり少なくなっています。
例えば、マーガリンの場合、1食分(10g)当たりのトランス脂肪酸の量は約0.1gとされており、これはWHOの勧告する摂取量の範囲内です。
実際に、バターのトランス脂肪酸含有量(10g当り約0.2g)と比較すると、マーガリンの方が少ないとも言えます。
※参考:西山 一朗教授(誤解していませんか? マーガリンのトランス脂肪酸)
したがって、現代のマーガリンのトランス脂肪酸を過度に心配する必要はありません。
「バター」「マーガリン」「ファットスプレッド」の違い!表で簡単まとめ
項目 | バター | マーガリン | ファットスプレッド |
---|---|---|---|
原材料 | 牛乳(乳脂肪) | 主に植物油脂(コーン油、大豆油など) | 植物油脂 |
脂肪含有率 | 80%以上 | 80%以上 | 80%未満 |
水分 | 17%以下 | 17%以下 | 高め |
歴史・背景 | 古くから存在 | バターの代替品として開発 | マーガリンと似ているが、油脂含有率が異なる |
価格 | 比較的高め | 安価 | – |
風味・特性 | 濃厚な風味とコク | バターの風味を模倣 | 軽い味わい、柔らかさ |
主な用途 | 料理、デザート | パンの塗布、料理 | パンの塗布 |
健康への影響 | コレステロール含有 | トランス脂肪酸の問題(ただし現在は改善) | トランス脂肪酸の問題(ただし現在は改善) |