- 読み方
- きうんをじょうせいする
- 意味
- 物事を進めるのに適した流れや時機が整うよう、理解・期待・協力などを少しずつ育てること。
- よく使う場面
- 新しい取り組み/地域の活動/組織改革/イベントの開催準備。
- 注意点
- 「機運」と「気運」は意味が重なるが、注目する点が異なる。「醸成」は一度に完成させることではない。
「機運を醸成する(きうんをじょうせいする)」とは、何かを始めたり進めたりするのにふさわしい時機や社会的な流れが整うように、理解や期待、協力の土台を時間をかけて育てることです。
例えば、新しい活動を始めたい組織が、説明会や話し合いを重ねて関係者の理解を深めていくときに使われます。「機運を醸成する」は、ただ機会が来るのを待つというより、状況を整えるための取り組みに焦点がある言い方です。
「機運を醸成する」の意味・読み方
読み方は「きうんをじょうせいする」です。『デジタル大辞泉』では、「機運」は時のめぐりあわせや、物事を行う時機を意味します。「醸成」は、ある状態や気運などを徐々につくり出すことです。
つまり「機運を醸成する」は、取り組みを実現できる時期へ向けて、関係者の理解や社会的な動きを少しずつ形成する、という意味で使われます。
言葉の組み合わせ
- 機運:物事を進めるのに適した時機やめぐりあわせ。
- 醸成:雰囲気や状態などを時間をかけてつくり出すこと。
- 機運を醸成する:取り組みが進みやすくなる流れや条件を徐々に整えること。
「機運を醸成する」の自然な例文6選
- 新しい地域活動への理解を広げるため、住民向けの説明会を開いて機運を醸成する。
- 新制度の導入に向けて機運を醸成するには、関係者の疑問に丁寧に答えることが欠かせない。
- 国内外の研究者が協力できる機運を醸成するため、交流の機会を設けた。
- 大会開催に向けた機運が徐々に醸成され、地域での協力も広がってきた。
- 学校全体で読書に親しむ機運を醸成しようと、生徒たちが本を紹介し合う催しを企画した。
- 組織の課題について意見を交わす場を重ね、改革へ踏み出す機運を醸成していく方針だ。
「〇〇に向けた機運を醸成する」「〇〇する機運を醸成する」という形が使えます。何を実現するための機運なのかを明確にすると、抽象的な言い回しになりにくくなります。
「機運を醸成する」と「気運を醸成する」の違い
「機運」も「気運」も「きうん」と読み、近い文脈で使われますが、辞書では意味の中心が少し異なります。
| 語 | 辞書上の意味の中心 | 向いている文脈 |
|---|---|---|
| 機運 | 時のめぐりあわせ。物事を行う時機。 | 取り組みを進める時期が整う。 |
| 気運 | 物事がある方向に向かって進もうとする傾向・時勢。 | 取り組みを支持する空気や流れが広がる。 |
したがって、実現に向けた時機が整うことを強調するなら「機運」、世の中や組織の動向・雰囲気に重点を置くなら「気運」が意味に合いやすいでしょう。
ただし、実際の公的な文章でも両方が近い用途で使われており、「機運を醸成する」が誤りというわけではありません。文部科学省の留学促進事業「トビタテ!留学JAPAN」でも、若者が留学へ踏み出す機運を醸成するという表現が使われています。
文章を書くときは、どちらの意味を中心にしたいのかを考えて表記を選ぶと分かりやすくなります。
「機運を醸成する」と「機運が熟する」の違い
どちらも、物事が実現へ向かう流れに関係します。しかし、着目する段階が異なります。
| 表現 | 意味の中心 | 例文 |
|---|---|---|
| 機運を醸成する | 適した流れや条件を徐々に育てていく。 | 地域で話し合いを重ね、開催の機運を醸成する。 |
| 機運が熟する | 物事を実行するのに適した時機が来る。 | 関係者の準備が整い、改革の機運が熟した。 |
| 機運を高める | すでにある流れや期待などをさらに強くする。 | 啓発イベントで参加の機運を高める。 |
「醸成する」はつくり上げる過程、「熟する」は実行できる時機に近づいた状態を表す傾向があります。意味が重なる部分もありますが、どの段階を述べたいのかに応じて使い分けるとよいでしょう。
「醸成」「形成」「育成」はどう使い分ける?
| 言葉 | 意味の中心 | 使い方の例 |
|---|---|---|
| 醸成 | ある雰囲気や状態を少しずつつくり出す。 | 協力し合う雰囲気を醸成する。 |
| 形成 | 一定の形や状態をつくり上げる。 | 新たな合意を形成する。 |
| 育成 | 人や能力などを育てる。 | 次世代の人材を育成する。 |
| 促進 | 進行や実施が早まるように働きかける。 | 計画の実施を促進する。 |
「醸成」の「醸」は、発酵によって酒などをつくる意味にも使われます。そこから、気持ちや雰囲気が徐々にでき上がるという意味でも用いられます。ただし、「機運を醸成する」の語源を特定の故事に結びつける根拠は確認できません。
ビジネスメールや企画書での使い方
組織内外の合意がまだ整っていないときに、働きかけの方針を説明する表現として使えます。ただし、「機運を醸成します」とだけ書くと、何をするのかが分かりません。
抽象的な文章を具体的にする
「来年度の導入に向け、機運を醸成します。」
↓
「来年度の導入に向け、職員説明会と意見交換会を実施し、関係者の理解と協力を得られる機運を醸成します。」
言葉の意味に沿って、誰に対して、どのような働きかけを、いつ行うかを示すと、企画書や報告書として実用的になります。
「機運を醸成する」は堅苦しい表現?
やや改まった響きがあり、行政文書や企業の方針説明、団体の活動報告などで使われやすい言い方です。日常会話では「みんなの理解を広げる」「取り組みへの期待を高める」「実現に向けて準備を整える」などが自然な場合もあります。
難しい言葉を使うことよりも、何をどう変えたいのかが伝わることを優先しましょう。
使うときの注意点
「醸成した」だけで取り組みが成功したとは言えない
機運を醸成することは、合意の成立や事業の成功そのものを保証する言葉ではありません。成果を説明するときは、参加者の意見や具体的な協力内容など、確認できる情報を添えましょう。また「機運」は時機、「気運」は傾向という辞書上の違いを意識すると、表記を選びやすくなります。
よくある質問
「機運を醸成する」は何と読みますか?
「きうんをじょうせいする」と読みます。
「機運を醸成する」とは簡単に言うと?
何かを進めるのにふさわしい流れができるよう、理解や協力を少しずつ広げることです。
「機運」と「気運」はどう違いますか?
辞書では、「機運」は物事をする時機、「気運」は物事が一定の方向へ進む傾向を意味します。実際には近い用途で使われることもあります。
「機運を醸成する」と「機運が熟する」は同じですか?
違いがあります。「醸成する」は適した流れを徐々につくること、「熟する」は実行に適した時機が来ることに重点があります。
仕事ではどんな言い換えができますか?
「理解を広げる」「協力を得るための環境を整える」「実現に向けた流れをつくる」など、目的に合わせて言い換えられます。
まとめ
- 「機運を醸成する」は、物事を進める流れや時機が整うように、徐々に働きかけること。
- 「機運」と「気運」は近いが、時機と傾向という意味の中心が異なる。
- ビジネス文書では、具体的な働きかけや目標と併せて使うと伝わりやすい。