「おざなり」と「なおざり」は、日本語で物事を適当に、または手を抜いて行う様子を表す言葉としてよく使われますが、その背後にあるニュアンスや文脈での用途には微妙な違いが見られます。
この記事では、「おざなり」と「なおざり」の違いをわかりやすく簡単に解説します。
「おざなり」と「なおざり」の意味・違い
「おざなり」とは
「おざなり」の語源は、江戸時代の幇間や芸者たちが、客に応じて態度を変え、表面的な言動を取る際に用いられた隠語であるとされます。
この言葉は、物事をいい加減に処理する、またはその場だけの対応で済ませる意味合いとして現代にも受け継がれています。
例として、「おざなりな教育をする」という言い方は、教育活動は行っているものの、その方法や内容が不十分であることを強調する用法となります。
「なおざり」とは
一方、「なおざり」という言葉は、10世紀頃からの使用例があり、歴史的にも非常に古い言葉です。
語源として「なほ」が「そのまま何もせず」という意味と「さり」が「遠ざける」という意味を持ち合わせており、結果として「何も手を加えずに放置する」という意味合いで使われてきました。
現代でも、その本質的な意味は変わっていないので、物事を放置する、あるいは真剣に取り組む意志や姿勢が欠けている状態を指す言葉として使われます。
例えば、「教育をなおざりにする」という表現は、教育に真剣に取り組んでいない、もしくは全く取り組んでいないことを意味します。
「ないがしろ」とは
また、似たようなニュアンスの言葉として「ないがしろ」も存在しますが、これは大切にすべきものを粗略に扱ったり、無視するさまを示す言葉で、前述の二つの言葉とは異なるアクセントを持っています。
ポイント
総じて、「おざなり」は何らかの行動や対応を示すものの、その方法や手法が適当であることを強調する言葉であり、一方で「なおざり」は物事に対する真剣な姿勢や取り組む意志が欠けている、あるいは放置している状態を指す言葉と言えます。
「おざなり」と「なおざり」の違い!表で簡単まとめ
表を使って、それぞれの違いや特徴をカンタンにまとめるでー!
項目 | 「おざなり」 | 「なおざり」 |
---|---|---|
基本的な意味 | 物事を適当に、その場限りの対応で行う | 物事を放置する、真剣に取り組む意志が欠ける |
語源・歴史 | 19世紀初めから使用、宴会の席の形ばかりの言動 | 10世紀から使用、何も手を加えずに放置する |
現代での使い方 | 何らかの行動・対応はするが適当 | ほとんどまたは全く対応・行動をしない |
例文 | おざなりな教育をする | 教育をなおざりにする |
特徴・強調点 | 行動・対応自体は存在するが適当 | 真剣な取り組み意志や姿勢が欠如、または放置 |