- 読み方
- おひきたて
- 意味
- 目をかけて用いたり、ひいきにしたりすることを丁寧に表す言葉。
- 典型的な使い方
- 「平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます」
- 「ご愛顧」との関係
- 意味は非常に近い。ただし「引き立て」は仕事上で人を取り立てることにも使われる。
- 注意点
- 日頃からの関係を前提とする挨拶は、初めて連絡する相手には使わない。
「お引き立て(おひきたて)」は、相手に目をかけてもらい、ひいきにしてもらうことを丁寧に表す言葉です。「日頃より格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます」のように、お客様・取引先などへ感謝を伝える挨拶で使われます。
もとの「引き立て」には、商売でひいきにすることだけでなく、能力を認めて人を取り立てることも含まれます。「ご愛顧」と意味が近い一方、どの場面でもまったく同じ響きになるとは限りません。まず基本の意味を押さえ、相手との関係に合う形を選びましょう。
「お引き立て」の意味と読み方
「おひきたて」と読みます。『デジタル大辞泉』には「御引立て」が独立した見出しとして載り、「引き立て」の尊敬語・美化語で、目をかけて用いることを表します。同辞書の「引立て」は、特に目をかけて用いること、ひいきにすること、愛顧することと説明しています。
この意味から、「毎度お引き立てを賜り」は商店や会社がお客様・取引先へ日頃の支持を感謝する表現になります。一方、語の基本の使い方には「社長の引き立てで役職に就く」のように、人が目をかけられて取り立てられる場面もあります。
二つの場面を比べる
- お店からお客様へ:「長年のお引き立てに心より御礼申し上げます。」
- 人事・仕事上の話:「上司の引き立てを受け、重要な仕事を任されるようになった。」
前者は敬意を込めた定型挨拶、後者は能力を認められて取り立てられた状況の描写です。
「お引き立て」の自然な例文6選
- お客様へのお礼:「平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。」
- 営業のお知らせ:「日頃より当店をお引き立ていただき、誠にありがとうございます。」
- 周年記念:「皆様のお引き立てのおかげで、当店は開業十周年を迎えることができました。」
- 年末の挨拶:「本年も格別のお引き立てを賜り、心より感謝申し上げます。」
- 今後のお願い:「今後とも変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます。」
- 仕事上の人間関係:「若いころから先輩の引き立てを受け、多くの仕事を経験する機会に恵まれた。」
最後の例では、「引き立て」を人への評価・後押しの意味で使っています。商売の挨拶だけに限定される語ではない点を覚えておくと、文章の意味をより正確に理解できます。
「お引き立て」と「ご愛顧」の違い
| 表現 | 意味の中心 | 用法の特徴 |
|---|---|---|
| お引き立て | 目をかけ、ひいきにすること。 | 商売・取引の挨拶に使うほか、「引き立て」は人を取り立てる意味にも使う。 |
| ご愛顧 | 目をかけてひいきにすること。 | 特に、ひいきにしてもらう側から感謝・お願いを述べる。 |
| ごひいき | 相手がひいきにすることへの敬意。 | 「今後ともごひいきに」などの言い方がある。 |
| ご高配 | 相手の心配り・配慮を敬うこと。 | 必ずしも顧客として利用し続けてもらう意味ではない。 |
「毎度お引き立てを賜り」と「毎度ご愛顧を賜り」は、同じような挨拶として使える場合があります。辞書でも「引き立て」の説明に「愛顧」が出てくるため、「お引き立ての方が会社向け」「ご愛顧は個人客専用」という決まりはありません。
詳しくは「ご愛顧」の意味と使い方、「ご高配」の意味と使い方をご覧ください。
「お引き立てを賜り」は目上にも使える?
使えます。「賜る(たまわる)」は、相手から何かをいただくことを非常に改まって表す言い方です。目上や取引先、顧客などに向けて「お引き立てを賜り、ありがとうございます」と書けます。
「お引き立ていただき」も自然な言い方です。両者は感謝を伝えるという点で重なりますが、「賜る」はより格式の高い印象を与えます。
場面別の言い回し
- 公式なお知らせ:「平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。」
- 店舗のお知らせ:「いつも当店をご利用いただき、ありがとうございます。」
- 親しみやすいメール:「日頃からご利用いただき、ありがとうございます。」
より格式の高い言葉が、どんな相手にも読みやすいとは限りません。
そのまま使えるお知らせ・挨拶文
例① 営業時間変更のお知らせ
件名:営業時間変更のお知らせ
平素は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。
このたび、〇月〇日より営業時間を以下のとおり変更いたします。
変更前:〇時~〇時
変更後:〇時~〇時
お客様にはご不便をおかけする場合もございますが、今後とも変わらぬお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。
例② 取引先への年末のご挨拶
件名:年末のご挨拶
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
本年もさまざまな場面でお力添えをいただき、誠にありがとうございました。
来年も、皆様のご期待に応えられるよう努めてまいります。引き続きよろしくお願い申し上げます。
いずれもすでに取引や利用などの関係がある相手への文例です。実際に使う際は、日時・変更内容を正確に記入してください。
「お引き立て」は初めてのお客様にも使える?
「日頃より」「毎度」「変わらぬ」などを伴う挨拶は、継続的な関係を前提とするため、初めて連絡する相手には不自然な場合があります。初めてのお問い合わせには「このたびはお問い合わせいただき、ありがとうございます」のように、実際に起こったことを述べましょう。
今後の取引を願う場合には、「今後ともよろしくお願いいたします」「引き続きご検討いただけますと幸いです」など、相手との関係や要件に合う表現を選ぶ方が伝わりやすいでしょう。
「今後ともお引き立てのほど」は押しつけがましい?
商用文で長く使われている定型表現であり、それだけで失礼になるわけではありません。ただし、まだ取引がない相手や、相手に特別な負担をお願いする場面では、定型挨拶だけで具体的な依頼を済ませないことが大切です。
「今後ともご利用いただけますよう、サービスの向上に努めてまいります」のように、こちらが何をするのかも示すと、より誠実な文章になります。
「お引き立て」の注意点
ひいきと公平な評価は別の話です。「引き立てる」は能力を認めて後押しする意味にも使いますが、だからといって、不公平な人事や便宜供与まで正当化する言葉ではありません。
また、「お引き立てを賜る」と書くだけで、実際には存在しない取引関係や支援の実績を作らないようにしましょう。
よくある質問
「お引き立て」は何と読みますか?
「おひきたて」と読みます。
「お引き立て」の意味を簡単に言うと?
相手に目をかけてもらい、ひいきにしてもらうことを丁寧に表す言い方です。
「お引き立て」と「ご愛顧」の違いは?
商売の挨拶では意味が非常に近い語です。「引き立て」は仕事上で人を取り立てる意味にも使えます。「愛顧」はひいきにされる側から述べることが特徴です。
「お引き立てを賜り」は取引先に使えますか?
使えます。相手からの継続的な支持に対する改まったお礼の言い方です。
初めてのお客様に「毎度お引き立てを賜り」と書けますか?
「毎度」は繰り返しの利用・取引を前提とするため、初回には「お問い合わせありがとうございます」などが自然です。
「社長の引き立てで昇進した」も同じ語ですか?
はい。「引き立て」には、目をかけて人を用いるという意味もあります。
まとめ
- 「お引き立て」は、ひいきにしてもらうことへの敬意・感謝を表す。
- 「ご愛顧」と意味が非常に近く、商用文では置き換えられる場合が多い。
- もとの「引き立て」には、人を評価して取り立てる意味もある。
- 相手との関係に合わせ、継続的な取引があることを前提とする挨拶を使い分ける。