- 読み方
- しいる
- 意味
- 相手の意思や事情にかかわらず、無理に行動をさせたり負担を負わせたりすること。
- よく使う形
- 決断を強いる/我慢を強いる/犠牲を強いる/選択を強いられる。
- 注意点
- 単なるお願いや提案とは異なり、断りにくさや無理な負担を含むことが多い。
「強いる(しいる)」とは、相手の意思にかかわらず、何かを無理にさせることです。「返答を強いる」「無理な選択を強いる」のように使います。また「住民に長い避難生活を強いる」といった言い方では、本人に望ましくない負担を負わせることも表します。
「お願いする」「促す」より強く、本人が自由に選びにくい状況や、負担をかける状況を示す言葉です。「強いられる」は、無理にさせられる側から見た受け身の表現です。
「強いる」の意味・読み方
「強いる」は「しいる」と読みます。『デジタル大辞泉』では「相手の意向を無視して、むりにやらせる。強制する」と説明されています。「強要する」「押し付ける」「無理強いする」などと意味が近い言葉です。
ただし、日常の「依頼」とは違い、「強いる」には相手の望まないことを実行させるという意味合いがあります。具体的な脅しを伴う場合もありますが、「強いる」だけで必ず脅迫が行われたとは限りません。
漢字の「強」は「つよい」とも読みますが、「強いる」の読みは「しいる」です。「強いた」「強いられる」も、それぞれ「しいた」「しいられる」と読みます。
「強いる」の使い方・自然な例文6選
- 上司が部下に休日の無償労働を強いることは、職場の大きな問題になる。
- 限られた時間で重要な選択を強いられた担当者は、判断材料の不足を訴えた。
- 一人だけに無理な我慢を強いるのではなく、チーム全体で負担を分担したい。
- 突然の交通機関の運休は、利用者に予定の大幅な変更を強いた。
- 災害によって住まいを失った人々が、長期の避難生活を強いられた。
- 相手の事情を聞かずに即答を強いるような質問は避けるべきだ。
「誰に」「何を」強いるのかを示すと意味が明確になります。また、受け身の「強いられる」は、自分では選びにくい状況に置かれたことを説明する場合によく使われます。
「強いる」「強制する」「強要する」の違い
| 表現 | 意味の中心 | 自然な例 |
|---|---|---|
| 強いる | 本人の意向を無視して、無理に行動や負担を引き受けさせる。 | 過度な我慢を強いる。 |
| 強制する | 本人の意思にかかわらず、一定の行動をさせる。 | 参加を強制する。 |
| 強要する | 無理に要求して従わせようとする。 | 謝罪を強要する。 |
| 押し付ける | 自分の考えや役割などを一方的に負担させる。 | 仕事を押し付ける。 |
| 促す | 働きかけて、ある行動を取るように勧める。 | 早めの回答を促す。 |
「強いる」「強制する」「強要する」は近い意味ですが、「強いる」は我慢・負担・犠牲・選択などを負わせる場面にも広く使える点が特徴です。「強要する」は無理に要求すること、「促す」は働きかけることであり、すべて同じ意味ではありません。
法律上の「強要罪」などは、成立するための要件が別にあります。日常語として「強いる」と言えるからといって、直ちに犯罪が成立するわけではありません。
「強いる」と「強いられる」の違い
「強いる」は、相手に無理をさせる側を主語にして使えます。「強いられる」は、無理をさせられる側を主語にして使う形です。
| 表現 | 主語と視点 | 例文 |
|---|---|---|
| 強いる | 負担をかける側。 | 厳しい条件が人々に不便を強いる。 |
| 強いられる | 負担を受ける側。 | 人々は厳しい条件によって不便を強いられる。 |
「選択を強いられる」「対応を強いられる」「我慢を強いられる」はいずれも自然な表現です。本人が望んで積極的に選んだ場合は、「自ら決断した」などと区別する方が正確です。
「負担を強いる」「犠牲を強いる」は自然?
はい、自然な言い方です。「強いる」は相手に行動をさせるだけでなく、好ましくない状況や負担を引き受けさせる場合にも使われます。
例文を比較
- 「利用者に長時間の待機を強いる。」=利用者が望まない待機を余儀なくされる。
- 「現場の担当者に大きな負担を強いる。」=特定の担当者に過大な負担がかかる。
- 「周囲に犠牲を強いる方針は見直す必要がある。」=一部の人に犠牲を負わせる方針への批判。
こうした例では、命令する人がはっきりいないこともあります。制度や状況が、結果として人に負担を強いることもあるからです。
「強いて」と「強いる」は同じ?
「強いて(しいて)」は、「強いる」の連用形に接続助詞「て」が付いてできた言葉で、無理に・あえてという意味で用いられます。
| 表現 | 例文 | ポイント |
|---|---|---|
| 強いる | 相手に回答を強いる。 | 無理に何かをさせる動詞。 |
| 強いて | 強いて答えを求める必要はない。 | 無理に、という意味の副詞。 |
| 強いて言えば | 強いて言えば、こちらの案が近い。 | 無理に一つ挙げるなら、という意味。 |
「強いて言えば」は必ずしも誰かを脅す表現ではありません。文章の中で、何を修飾しているかによって意味が決まります。
仕事で使う場合の注意点
「強いる」は批判的な響きを伴うことが多いため、相手の言動を指摘するときは具体的な事実を示しましょう。例えば「休憩なしの勤務を強いられた」と述べる場合、どのような勤務指示があり、休憩を取れなかったのかを具体的に説明した方が状況を理解しやすくなります。
依頼をする側なら「強いる」ことにならないよう、目的・必要な時間・断れる余地を明確にすることが大切です。「ご協力いただけませんか」「難しければ別の方法を考えます」などの言い方は、負担を一方的に押し付けないために役立ちます。
よくある質問
「強いる」は何と読みますか?
「しいる」と読みます。「強いた」は「しいた」、「強いられる」は「しいられる」です。
「強いる」とは簡単に言うと?
相手が望んでいなくても、無理に何かをさせたり負担を負わせたりすることです。
「強いる」と「強要する」の違いは?
意味は近いですが、「強いる」は「負担を強いる」「苦しい選択を強いる」のように、好ましくない状況を負わせる場面にも広く用いられます。
「強いられる」は受け身ですか?
はい。「強いる」の受け身の形で、何かを無理にさせられる側から見た表現です。
「強いて言えば」は「強いる」と関係がありますか?
あります。「強いて」は「強いる」からできた語で、「無理に」「あえて」といった意味で使います。
まとめ
- 「強いる」は、本人の意思を無視して無理に何かをさせること。
- 「負担を強いる」「我慢を強いる」のように、好ましくない状況を負わせる場面にも使う。
- 「促す」「お願いする」は必ずしも「強いる」と同じ意味ではない。