「入れ墨」、「刺青」、そして「タトゥー」は、皮膚に模様やデザインを入れる技法やその結果としての作品を指す言葉ですが、それぞれには異なる背景や文化的なニュアンスがあります。
この記事では、「入れ墨」「刺青」「タトゥー」の違いをわかりやすく簡単に解説します。
「入れ墨」「刺青」「タトゥー」の意味・違い
「入れ墨」とは
まず、「入れ墨」は、文字通り皮膚に墨や色素を注入して模様や文字を描く手法を指します。
日本の歴史に深く根付いており、特に江戸時代には刑罰として前科者に入れられた印を指す言葉として使われていました。
このため、歴史的には刑罰や犯罪者の印という暗いイメージも持つことがありました。
一方で、針の入る深さが深く、皮膚が少し盛り上がることが特徴で、使用されるインクは墨や朱肉などの天然の素材から作られています。
「刺青」とは
次に、「刺青」についてですが、元々は「しせい」と読む言葉でした。
しかし、谷崎潤一郎の小説『刺青』の影響により、「いれずみ」と読むのが一般的となりました。
実際には、「刺青」と「入れ墨」は、技法や意味合いとしては非常に近いもので、皮膚に深く模様を入れる技術を指します。
「タトゥー」とは
そして、「タトゥー」は英語由来の言葉で、日本においては洋風のデザインやモチーフを指すことが多いです。
語源としては、タヒチ語の「ta tau(叩く)」が起源とされています。
比較的浅く皮膚に針を刺すため、皮膚が盛り上がることはありません。
機械を使用して彫るものが「洋彫り」と称されることもありますが、実際には洋風のデザインであっても手彫りのものが存在するし、和風のデザインで機械を使用して彫られることもあります。
日本の文化や歴史の中での位置づけや認識にも注意が必要です。特に、入れ墨やタトゥーが一部の施設で受け入れられない場面もあり、日常生活での制約を考慮することが求められることもあります。
「入れ墨」「刺青」「タトゥー」の違い!表で簡単まとめ
表を使って、それぞれの違いや特徴をカンタンにまとめるでー!
項目 | 入れ墨 | 刺青 | タトゥー |
---|---|---|---|
定義 | 皮膚に墨や色素を注入して模様や文字を描く手法。 | 皮膚に針を用いて色素を注入する手法、またはその文様や絵柄。 | 英語の「tattoo」を指し、日本における「刺青」の英語表現。 |
歴史的背景 | 江戸時代に前科者の印として使われていた。 | 元は「入れ墨」と同じ意味。谷崎潤一郎の『刺青』の影響で「刺青」の表記が普及。 | 西洋的な文化として日本に導入。 |
ニュアンス | 伝統的・歴史的背景を持つ。暗いイメージも持つことがある。 | 現代では一般的な表現として使われる。 | ファッションや個人の表現としての側面が強い。 |
主な特徴 | 針の深さが深いため、皮膚が盛り上がることがある。天然の素材から作られたインクが使われることが多い。 | 元々「しせい」と読むが、現在は「いれずみ」と読むのが一般的。 | 皮膚に浅く針を刺すため、皮膚が盛り上がることはない。 |
その他の呼び名 | – | 彫り物、文身、紋身など。 | 洋彫り(機械を使用)、和彫り(和風の絵柄や文字)。 |
文化的な位置づけ | 一部の施設では入れ墨を隠すよう要求されることがある。 | 日本の伝統的な技法としての位置づけがある。 | 若者を中心に、ファッションやアートとしての側面が強い。高齢者は「刺青」と呼ぶことが多い。 |
この表により、それぞれの言葉の定義、歴史的背景、ニュアンス、特徴などを一目で理解することができます。