- 読み方
- ごほうねんください
- 意味
- そのことは気にかけないでください・心配しないでください、という丁寧な言い方。
- よく使う場面
- 依頼が不要になった連絡、行き違いのメール、相手の心配を和らげたいとき。
- 「忘れてください」との違い
- 記憶から消すことではなく、気にせず心配しないでよいという意味が中心。
- 特に注意
- すでに送った依頼を取り消すときは、何の依頼が不要になったかを明記する。
「ご放念ください(ごほうねんください)」とは、「そのことは気にかけないでください」「心配しないでください」と相手に丁寧に伝える、改まった言い方です。「先ほどお願いした確認は、こちらで対応できました。ご放念ください」などと使います。
「放念」は、記憶から忘れてしまうこととは違います。相手の心配や気がかりを取り除きたいときに使う表現です。なお、取り消したい依頼や、不要になった手続きを伝える場合には、「ご放念ください」だけでは何をやめてよいのか不明確になるため、用件を具体的に書きましょう。
「ご放念ください」の意味と読み方
「放念」は「ほうねん」と読みます。『デジタル大辞泉』は「気にかけないこと・心配しないこと」と説明し、「どうぞ御放念ください」という用例を載せています。『精選版 日本国語大辞典』でも、心にかけないこと・心配しないことという意味が示されています。
「ご放念ください」は、「放念」に相手への敬意を表す「ご」と、依頼を表す「ください」を添えたものです。意味は「心配しなくて結構です」に近く、「必ず記憶から消してください」という命令ではありません。
まずはこの違いを覚えましょう。
「先ほどの依頼は不要になりました。ご放念ください。」=その依頼について、もう気にかけなくてよい。
「会議室の番号を忘れてしまいました。」=覚えていた番号を思い出せなくなった。
「ご放念ください」の自然な例文6選
- 依頼の取り消し:「先ほどお願いした資料の確認は、こちらで完了いたしました。先の依頼につきましては、どうぞご放念ください。」
- 行き違い:「すでにご回答いただいている場合は、行き違いのご案内となりますので、本メールはご放念ください。」
- 確認が不要になった:「担当部署で内容を確認できましたので、追加のご確認は不要です。どうぞご放念ください。」
- 相手への気遣い:「お気遣いいただきありがとうございます。こちらは問題なく対応できておりますので、どうぞご放念ください。」
- 重複したお願い:「同じ依頼を重複してお送りしてしまいました。二通目のメールはご放念くださいますようお願いいたします。」
- 日程の変更:「先ほどお送りした旧日程での調整依頼は取り下げます。旧日程についてはご放念いただければ幸いです。」
いずれも、相手が気にしなくてよい対象を具体的にしています。「放念」と書いても、相手の作業を止めてもらう必要がある場合には、別に「確認は不要です」「先の依頼を取り下げます」などを伝えると確実です。
「ご放念ください」「お忘れください」「失念」「お気になさらず」の違い
| 表現 | 意味の中心 | 適した場面 |
|---|---|---|
| ご放念ください | 気にかけない・心配しないでほしい。 | 不要になったお願い、心配の解消。 |
| お忘れください | 記憶に留めず、思い出さないようにしてほしい。 | 先ほどの発言を記憶にとどめないでほしいとき。 |
| 失念する | うっかり忘れること。 | 「返信を失念しておりました」という謝罪。 |
| お気になさらないでください | 気にしないでほしいことを柔らかく伝える。 | 相手に心配や遠慮をさせたくないとき。 |
| ご返信には及びません | 返信しなくてもよいこと。 | 返信が不要であることを明示するとき。 |
特に「放念」と「失念」は別の言葉です。放念は気にかけないこと、失念はうっかり忘れることです。「返信を放念していました」ではなく、「返信を失念しておりました」と言います。
また「返信不要」と伝えたいだけなら、「ご返信は不要です」の方が意図が明確なこともあります。
「お含みおきください」とは意味の向きが異なります。「ご放念ください」は気にかけないでほしい、「お含みおきください」は事情を心に留めておいてほしいという言い方です。詳しくは「お含みおきください」の意味と使い方でも確認できます。
「ご放念ください」は目上の人に使える?
目上の人や取引先にも使えます。辞書にも「御放念ください」の用例が示されています。ただし、現在の日常的なメールでは硬く感じる相手もいるため、状況によっては「お気になさらないでください」「追加のご対応は不要です」などの言い方が適しています。
相手がすでに時間をかけて対応してくれた場合には、「もう気にしないでください」だけでなく、まず感謝を伝えると丁寧です。例として「ご対応いただきありがとうございます。こちらで確認が済みましたので、以降の作業は不要です」と伝えられます。
「ご放念いただけますと幸いです」は正しい?
使える丁寧な依頼です。「ください」より柔らかく伝えたい場合に選べます。一方、相手に確実に作業を中止してほしいときには、柔らかい言い方だけでは指示が曖昧になる可能性があります。
誤解を防ぐ伝え方
「旧資料の確認は不要となりました。先ほどのお願いは取り下げますので、ご放念いただけますと幸いです。」
依頼そのものが取り消されたことを明記すれば、相手は作業を続ける必要があるか判断しやすくなります。
依頼の取り消しに使えるメール文例
件名:【確認依頼の取り下げ】資料の確認について
いつもお世話になっております。
先ほどお送りした資料確認のお願いについて、ご連絡いたします。
その後、弊社内で確認が完了したため、今回のご確認は不要となりました。先ほどの依頼は取り下げますので、どうぞご放念ください。
行き違いで作業を進めてくださっていた場合は、申し訳ございません。お手数をおかけいたしました。
引き続きよろしくお願いいたします。
件名にも「取り下げ」を入れ、本文でもどの依頼が不要になったのかを説明しています。返信不要かどうかも明確にしたい場合には、別に一文を加えましょう。
行き違いのメールで使う場合
件名:書類のご提出状況について
いつもお世話になっております。
先日お願いした書類につきまして、まだご提出いただいていない方に確認のご案内をお送りしております。
すでにご提出済みの場合は、行き違いのご連絡となりますので、本メールはご放念ください。
ご協力ありがとうございます。
この表現は、相手の状況によって対応が不要になる場合に適しています。ただし、誤った督促や案内を送ってしまったことが判明しているなら、「先のご案内は誤りでした」と明確に訂正する方が適切です。
「ご放念ください」だけで正式な依頼を撤回できる?
「放念」は気にかけないことを意味する言葉であり、契約・申請・予約などの正式な手続きを自動的に取り消す効力を表すわけではありません。実際の取り消しには、必要な連絡や手続きが別にある場合があります。
また、機密資料や個人情報の削除を求めたい場合には、「ご放念ください」ではなく、削除対象・方法・期限などを明確に伝える必要があります。
不要になった作業を明示する。
単に「ご放念ください」と送るのではなく、「先ほどの依頼は取り下げます」「この確認作業は不要です」などと添えましょう。相手がすでに対応を始めている可能性にも配慮することが大切です。
「ご放念ください」を使わない方がよい場面
相手に判断・承諾・謝罪・資料の削除・重要な変更への対応などを求める場合には、「ご放念ください」は目的に合いません。「ご了承いただけますか」「先ほどの案内を訂正します」「該当する資料を削除してください」のように、求める行動を具体的に書きましょう。
相手が困っている事情を深く確認せずに「ご放念ください」とだけ伝えると、十分な説明や対応をせずに済ませている印象を与えることもあります。言葉を使う前に、相手の不安が実際に解消されているかを確認しましょう。
よくある質問
「ご放念ください」は何と読みますか?
「ごほうねんください」と読みます。
「ご放念ください」とは簡単に言うと?
そのことを気にかけたり心配したりしないでください、という丁寧な表現です。
「ご放念ください」は目上の人に使えますか?
使えます。ただし、硬いと感じられる場合は「お気になさらないでください」「追加のご対応は不要です」なども選べます。
「ご放念ください」と「忘れてください」は同じですか?
同じではありません。「放念」は気にかけないこと、「忘れる」は記憶から消えることや思い出さないようにすることなどを表します。
「放念」と「失念」はどう違いますか?
「放念」は気にしないこと、「失念」はうっかり忘れることです。「返信を失念していました」のように使います。
「ご放念いただけますと幸いです」は正しいですか?
使える表現です。ただし、取り消しや作業中止を確実に伝えたい場合は、不要になった作業も明記しましょう。
「ご放念ください」と書けば返信不要になりますか?
そのように受け取られる場面もありますが、確実に伝えるなら「ご返信は不要です」と明示した方が分かりやすくなります。
まとめ
- 「ご放念ください」は、そのことを気にかけないでほしい、心配しないでほしいという丁寧な言い方。
- 「失念する」「忘れる」とは意味が異なる。
- 依頼を取り下げるときは、何の作業が不要になったかを具体的に示す。
- 正式な取り消し・資料の削除などを、「ご放念ください」の一言だけで済ませない。